【通信速度比較】auの夏モデルを自称最速のソフトバンクと比較、WiMAX 2+とキャリアアグリゲーションの実力が明らかに


つながりやすい800MHz(プラチナバンド)と、2.1GHzの2つのLTEを同時に利用することで、下り最大150Mbpsを実現する「キャリアアグリゲーション(CA)」と、下り最大110Mbpsの「WiMAX 2+」の両方に対応したauの2014年夏モデル。

2つの高速通信を兼ね備えたことで、今まで以上に快適な通信を期待できるわけですが、どれだけ通信速度が上がったのかを、各所で「最速」をアピールしているソフトバンクと比較してみました。

◆キャリアアグリゲーションとは?
まずはauのキャリアアグリゲーションのおさらい。「下り最大75MbpsのLTEを2本束ねると下り最大150Mbpsになる」という、ごくごく分かりやすい内容です。現時点では上りには適用されないため、上り最大25Mbps、下り最大150Mbpsとなります。

また、キャリアアグリゲーションには速度向上だけでなく、2つの電波で補完するため、通信の安定性が向上するというメリットも。つまり今まで以上に高速かつ安定して通信できるわけです。

このキャリアアグリゲーションに加え、KDDI傘下のUQコミュニケーションズが昨年10月末にスタートした、下り最大110Mbps、上り最大10Mbpsの高速通信サービス「WiMAX 2+」にも対応させ、混雑状況に応じて回線を自動で切り替えられるようにしたのが、「Xperia ZL2」「Galaxy S5」「AQUOS SERIE」「isai FL」といったauの2014年夏モデルになります。

◆本当に高速なのかをあえて「都内最速」をうたうソフトバンクと比較してみた
このように理論上の数値で考えれば非常に高速なauの2014年夏モデルですが、一方で気になるのが都内の広告看板などで「最速」をうたってはばからないソフトバンク。MMD研究所によるiPhone 5sを用いた速度比較をベースに、「ソフトバンク最速!一番遅いのがau!」と声高に主張しています。

そこで今回は、auから借りた「Xperia ZL2」と私物のソフトバンク版「iPhone 5s」を使い、通信速度を比べてみることにしました。ざっくり言うと2機種の違いは「キャリアアグリゲーションとWiMAX 2+に対応しているか否か」という部分。なお、この計測結果は上記の看板の足元、渋谷ハチ公前広場で測定したものです。

◆計測は混雑する首都圏の帰宅ラッシュ時に実施
今回の通信速度比較は「混雑した中、どれだけの速度を出せるか」を測るため、あえて混雑する平日の帰宅ラッシュ時に実施。基本的に3回計測した平均値を算出しています。

・JR山手線池袋駅ホーム先端付近(板橋側)
au:下り53.22Mbps、上り9.52Mbps
ソフトバンク:下り6.95Mbps、上り3.37Mbps

まずは埼玉県への玄関口としてにぎわう池袋駅のホーム先端。auが50Mbps超をはじき出す一方で、ソフトバンクが計測エラーになるなど、あまり奮わない結果に。

・JR山手線池袋駅ホーム中程
au:下り28.05Mbps、上り4.87Mbps
ソフトバンク:下り15.08Mbps、上り9.51Mbps

ホーム中程になるとソフトバンクが安定して計測できるようになりました。

・池袋駅中央1改札
au:下り39.59Mbps、上り9.18Mbps
ソフトバンク:下り29.09Mbps、上り6.53Mbps

地下にある中央1改札。どちらも十分な数字が出ていますが、やはりauが1歩リード。

ふと気になって2.1GHzのLTEのみに対応しているau版iPhone 5で計測してみると、30Mbpsに満たない数字に。やはり上記のauの計測結果は、キャリアアグリゲーションのなせる技と考えて良いようです。

・ISP(池袋ショッピングパーク)北レンガ通り
au:下り27.70Mbps、上り11.49Mbps
ソフトバンク:下り12.10Mbps、上り4.17Mbps

地下を抜けて「ISP(池袋ショッピングパーク)」にあるベンチで速度を計測したところ、こちらもauが大きくリード。

・いけふくろう前
au:下り26.97Mbps、上り5.64Mbps
ソフトバンク:下り13.65Mbps、上り2.99Mbps

「地下が入り組んで分かりづらい」という人も多い池袋駅で、待ち合わせに使う人も多いであろう「いけふくろう前」でも同様の結果に。全体的にauは地下に強いという印象を受けました。

・池袋パルコ前
au:下り33.37Mbps、上り7.43Mbps
ソフトバンク:下り9.24Mbps、上り4.29Mbps

今度は地上に出てパルコ前で計測。電波の届きやすい地上では比較的混雑の少ないイー・モバイルのLTEを併用しているソフトバンクが優位になるのでは……と思いきや、なんとさらに苦戦する結果となっています。

・サンシャインシティ前
au:下り62.45Mbps、上り6.67Mbps
ソフトバンク:下り18.91Mbps、上り14.63Mbps

そして特筆すべき結果となったのがサンシャインシティ前。周囲に飲食店やゲームセンターなどが建ち並ぶスポットにもかかわらず、60Mbps超えを記録。

・サンシャインシティ地下、ナンジャタウン行きエスカレーター前
au:下り76.08Mbps、上り6.48Mbps
ソフトバンク:下り34.43Mbps、上り10.72Mbps

そのままサンシャインシティを進むと、ナンジャタウンに向かうエスカレーターを発見。計測してみたところ、80Mbps超えが見える結果に。周囲の店舗が閉まっており、混雑していなかったための数字であると思われますが、この数字には驚かされました。

・サンシャインシティ3階 乙女ロード側出口
au:下り11.01Mbps、上り7.36Mbps
ソフトバンク:下り21.09Mbps、上り14.23Mbps

サンシャインシティを上ったところにある、アニメイトやK-BOOKS、らしんばん、まんだらけなどのアニメ・同人誌ショップが居並ぶ「腐女子の聖地」こと「乙女ロード」側を臨んだ出口ではソフトバンクの方が速度が出ていました。

・JR山手線新宿駅ホーム(西口・東口階段側)
au:下り13.28Mbps、上り10.46Mbps
ソフトバンク:下り3.24Mbps、上り4.84Mbps

続いては最も人が多いであろう、JR山手線の新宿駅。中でも多くの人が利用すると思われる、東口・西口に向かう階段付近で計測したところ、auがなんとか10Mbps超え。やはり新宿駅の厳しさは本物です。

・JR山手線新宿駅ホーム中程
au:下り4.93Mbps、上り3.18Mbps
ソフトバンク:下り2.58Mbps、上り4.70Mbps

今回の計測で最も苦戦させられたのが新宿駅の中程。度重なる計測エラー、一切安定してくれないパフォーマンス……と、計測者泣かせの展開が相次ぐ結果に。計測結果は上記の通りですが、両社とも通信が不安定であったため、素直にWi-Fiスポットなどを併用することをお勧めします。

どれくらい不安定なのかはこのムービーを見れば分かりやすいのではないでしょうか。

混雑しすぎてLTE回線が不安定なラッシュ時の山手線新宿駅 - YouTube


ちなみに計測していて少し不思議だったのが、ソフトバンクの場合「広告の看板が近いところのほうがパフォーマンスが出る」という現象が起きていたこと。基地局の配置と広告を出す場所がたまたま近かっただけのことだと思われますが、池袋でも新宿でも似たような傾向だったのが興味深くありました。

・ヨドバシカメラ新宿西口本店前
au:下り37.83Mbps、上り7.18Mbps
ソフトバンク:下り16.05Mbps、上り13.99Mbps

続いては大手家電量販店「ヨドバシカメラ」本店前にある、携帯各社の販売コーナーが立ち並ぶスポット。ここでもauが大きくリードしました。

・ヨドバシカメラ新宿西口本店7階男子トイレ
au:下り19.62Mbps、上り9.31Mbps
ソフトバンク:下り14.57Mbps、上り8.96Mbps

なお、店内のお手洗いで速度を測ったところ、おそらくキャリアアグリゲーションが効いていないと思われる数字であるにもかかわらず、auがややリードする結果に。これは建物の中にも電波が届きやすいプラチナバンドのLTEが功を奏していると思われます。

・新宿大ガード近辺
au:下り43.75Mbps、上り4.12Mbps
ソフトバンク:下り15.99Mbps、上り10.97Mbps

新宿西口と東口を結ぶ大ガードの近くはこんな感じ。上り速度が低いため、おそらくWiMAX 2+エリアであると思われますが、「新宿で安定して速度が出る」というのはなかなかのものです。

・歌舞伎町うどん屋店内
au:下り25.40Mbps、上り12.10Mbps
ソフトバンク:下り14.88Mbps、上り12.00Mbps

ふらっと立ち寄った歌舞伎町のうどん店でも、auが大きくリード。

通りに面した店であるにもかかわらず、アンテナピクトが3~4を行き来し、電波の入りがあまり良くなかったソフトバンク。これもプラチナバンドLTEの有無が影響していると思われます。

・新宿駅東口アルタ前
au:下り11.72Mbps、上り9.18Mbps
ソフトバンク:下り16.02Mbps、上り8.27Mbps

夜も遅くなってきたアルタ前ではソフトバンクがリード。

・たまプラーザ駅ホーム
au:下り48.95Mbps、上り9.94Mbps
ソフトバンク:下り36.66Mbps、上り17.26Mbps

最後に郊外での速度を測るため、電車を乗り継ぎ、神奈川県横浜市にあるたまプラーザ駅に到着。

上り速度で引けを取るものの、auが大きくリード。

もう一度au版iPhone 5で計測してみると、やはりキャリアアグリゲーションによる数字であったことが分かります。

・(おまけ)川崎市某所
au:下り89.60Mbps、上り7.59Mbps
ソフトバンク:下り13.90Mbps、上り10.79Mbps

あらかた計測し終え、川崎市某所を歩いている時に、何気なく計測すると出た数字がこちら。これだけ下り速度が出ている割に上り速度が出ていないため、回線は上り最大10Mbps・下り最大110MbpsのWiMAX 2+と思われますが、理論値に近い数字が出たことに。また、WiMAX 2+の整備は都心部だけでなく、郊外でも進んでいるようです。

◆まとめ:WiMAX 2+、キャリアアグリゲーションは確実に効果があった
通信速度はネットワークの状況、時間帯、電波状況、周辺の人口など、さまざまな要因でその都度変わるものですが、自称「最速」のソフトバンクをリードする場面が非常に多く、効果があったと言わざるを得ないauのWiMAX 2+およびキャリアアグリゲーション。

もしauスマホの購入を検討している利用者が、安くなった旧モデルか2014年夏モデルのどちらにするか迷っているのであれば、確実に後者を薦めたくなるほどでした。

なお、KDDIおよびUQコミュニケーションズは2015年3月末までにキャリアアグリゲーションを用いた下り最大150Mbps対応基地局を2万局以上、WiMAX 2+の基地局についても2万局規模に拡大する方針であるため、そう遠くないうちに全国規模で快適な通信を利用できることとなりそうです。

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