年内にも解禁される可能性が浮上しているNTTドコモとNTT東西の光ファイバーサービスのセット割に対し、KDDIおよびソフトバンク陣営が改めて反対する意思を表明しました。
2020年代に向けた情報通信政策の在り方に関する検討についての連名要望書の提出について | 2014年 | KDDI株式会社
2020年代に向けた情報通信政策の在り方に関する検討についての連名要望書の提出について | ソフトバンクモバイル株式会社 | グループ企業 | 企業・IR | ソフトバンク
KDDIおよびソフトバンクら通信各社が連名で相次いで発表したプレスリリースによると、NTT東西が新たに提供を予定している光サービス卸「光コラボレーションモデル」を用いたNTTドコモとのセット割引について、総務省に対して要望書を提出したそうです。
これは国が出資する特殊会社のNTT東西が電電公社時代に国民負担で構築した公共資産としてのボトルネック設備を保有しており、メタル・光ファイバーを合わせて83.7%という高いシェアを依然として維持していることを受けたもの。
NTTグループ各社相互の市場支配力を用いた顧客囲い込みが進み、固定・移動体双方の市場が硬直することや、グループ内での実質的優遇や内部補助が行われる可能性があるなど、公正競争が阻害されるおそれが極めて高く、セット割引の提供は認められるべきではないとしています。
また、総務省に対して適正性・公平性・透明性を確保する観点から、以下のような措置を講じるべきとしています。
1.「サービス卸」に対する規律導入
適正性・公平性・透明性確保のため接続約款同様の規律を導入すること(事前認可、相対取引の禁止、約款の公表等を義務付けること)
2.NTTドコモによる「セット割」禁止
NTT グループ各社相互の市場支配力を背景に NTT グループの顧客囲い込みが進展し、NTT グループの独占回帰が懸念されることから、少なくとも、NTTドコモに課された「セット割」等排他的連携サービスの禁止に係る規制を徹底すること
3.NTTグループ会社の優遇禁止
「サービス卸」を通じたNTTグループ一体での営業活動(NTTドコモへNTT東西のリソースを転用)や業務連携、NTTグループ会社などへの先行的な情報開示など、NTT東西殿に課された禁止行為の監視・チェック体制等を強化すること、NTT東西からNTTグループ各社への営業支援策(販売奨励金等)を通じた優遇を禁止すること
また、各社は上記の事項が満たされないまま、なし崩し的にNTT東西の「サービス卸」の提供およびNTTドコモによるセット割など連携サービスの導入がなされることは公正競争環境を大きく損なうものであり、制度整備前にセット割など連携サービスの導入がなされないよう、適切に指導することを総務省に要望しています。
ちなみに通信各社がここまでセット割解禁に反対する理由ですが、かねてからお伝えしている通り、今もなおNTTグループが音声通話で76%、光ファイバーで72%、携帯電話で45%のシェアを持っていることによるもの。
もともとの資本力が圧倒的に違うため、自前で光ファイバーを整備しているKDDIや光ファイバーの整備に積極的な電力各社であっても太刀打ちするのが難しく、一度解禁されてしまえばまず間違いなくNTT一極集中への回帰が進んでしまう……という懸念があるわけです。
なお、そのほかの詳細については4月に掲載した記事「KDDIやソフトバンクがNTTのセット割解禁に戦々恐々とするワケ」を参照のこと。通信各社がいかにNTTの手のひらの上で踊っているのかをまとめてあります。
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