人類の活動が次の氷河期の到来を遅らせているという研究報告



人類による地球温暖化が次の氷河期を遅らせている可能性が指摘されています。詳細は以下から。

今現在、この人類文明が存在する時代は「間氷期」と呼ばれており、繰り返される氷河期の合間の比較的温かい時代であると考えられています。約7万年前から1万年前まで続いたヴュルム氷期の後に始まったこの時代に人類は大きく反映することになりました。

大切なのは氷河期はまだ終わっておらず、これから再び始まる可能性が強いということ。つまりは今は単に氷河期の中休みに過ぎないということです。

ですが、人類が消費する化石燃料を始めとした燃料、そしてそこから排出される二酸化炭素などの温室効果ガスによって、このつぎに訪れると考えられている氷河期の到来が遅らされているという研究報告がなされました。

研究によると、ヨーロッパ、北アメリカ、そしてロシアの大規模な氷河形成が産業革命の開始によって妨げられています。石炭の燃焼によって生じる温室効果ガスの濃度は当時で240ppmで、その後ジリジリと上昇を続けて現在では400ppmにまで達し、これによって人類は氷河期の到来を10万年ほど遅らせています。

この研究の主任研究員であるPotsdam Institute for Climate Impact ResearchのAndrey Ganopolski博士は「人類がこの世界を形作っている地球のシステムに干渉するという前代未聞の事態が発生している」としています。これはノーベル化学賞受賞者パウル・クルッツェンの提唱した、人類の活動が自然の影響を凌駕し、地球環境を左右し、数万年規模の痕跡を残すという「人新世(anthropocene:アントロポセン)」が既に確実に始まっていることを意味します。

ネイチャー誌に発表されたこの研究では、過去80万年に起こった8回の氷河期を研究することで、どのようなコンディションが地球に氷河期をもたらすのかを解き明かしています。複雑な気候の変動の中で決定的な役割を果たすのは次のふたつの要素。ひとつは北半球の日照時間であり、もうひとつは大気中の二酸化炭素濃度です。

後者の大気中の二酸化炭素濃度は産業革命までは比較的安定していましたが、前者は長いサイクルによって変動しているため、周期的に地球に氷河期が訪れていたと考えられますが、後者が上昇を続けたため、これまで通りのサイクルで氷河期が起こらない可能性が高いということです。

それが良いことなのか悪いことなのか、もちろん一概に言うことはできません。人類にとって、他の生物にとって、どのような変化をもたらすことになるのでしょうか。

Human Activity Has Postponed The Next Ice Age IFLScience

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