ロシアで無神論を唱えた男性、懲役1年の危機に

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ネット上での論争が裁判沙汰になり、懲役刑にまで発展しそうです。詳細は以下から。

ネット上で行われた発言が大炎上することは日本では最早見慣れた光景になりましたが、ロシアでは無神論を唱えた男性が裁判にかけられ、懲役刑に処せられることになりそうです。

この話の発端は2014年のこと。ロシアのSNS、Vk.comでVictor Krasnovさんが友人達を含めて神や宗教をテーマに論争を行っていました。その際にKrasnovさんは「神なんていない」「聖書はユダヤ人のおとぎ話の寄せ集めだ」などと書き込んだことで「信心深い人々の感情を害した」罪によって逮捕され、裁判に掛けられるハメになっています。

この論争の後、Krasnovさんと母親の元には匿名の脅迫が届き始め、2015年の秋には論争に加わったふたりの友人が「ロシア正教会のすべての信者の権利を代表」してKrasnovさんを告発しました。

ロシアのFBIとも言えるInvestigative CommitteeはKrasnovさんを拘束し、精神医学的評価を受けさせる傍らで1ヶ月以上に渡って尋問を繰り返しました。Krasnovさんは正気であると宣言されましたが、Investigative Committeeは直接誰かを侮辱したわけではないにも関わらず、彼のコメントが信心深い人々の感情を害したと断定しました。

驚くべき罪状に思えますが、「信心深い人々の感情を害した」罪はロシアの女性パンクバンドPussy Riotがモスクワの救世主ハリストス大聖堂で冒涜的なパフォーマンスを行ったことをきっかけに2012年に新設されたもの。これによってKrasnovさんは現在南ロシアの故郷スタヴロポリで裁判に掛けられています。

Krasnovさんは、予備調査の段階で自らが十分な説明を行う機会を与えられなかったと主張しています。検察官側が告発したふたりの友人のコメントを消去し、まるでKrasnovさんが故意に彼らの感情を害したかのように見せているとのこと。

SNS上の発言をどうしてこんなに真剣に問題視するのか理解できない。検事たちは私の言葉を論争の文脈から抜き出して悪用している。元の会話を復元するようにという決定は2年経ってようやく裁判所からなされたところなんだ。

ここは正教会の宗教国家じゃない、世俗国家だ。誰もが各々の宗教的信仰を持つ権利がある。これまで物質的にも精神的にも多くのダメージを被ったのだから、私は反訴を提出するつもりだ。最初の11ヶ月の捜査は最悪だった。30日も精神病院にぶち込まれたんだ。

鍛冶業を営んでいたKrasnovさんは働くことができなかったため大きな経済的損失を被った上に、捜査が行われている間に彼のPCと携帯電話は差し押さえられ、弁護士を通じて返還を求めても5度に渡って拒否されたとのこと。

さらに攻撃は母親にまで及びました。原理主義的なキリスト教徒達が母親の職場を特定して「電凸」を行い、「この女の息子は原理主義者だから解雇しろ」と迫ったため、Krasnovさんは母親を守るために友人の元に身を寄せることとなりました。

そうした状況にありながらも、Krasnovさんは家族や友人から息の長い支援を受けており、それ以外にもロシアではこのような事態が誰にでも起こりうることを知るジャーナリストやブロガーらから激励を受けています。

現在もKrasnovさんには殺害予告が正教会の狂信者らから届けられますが、捜査機関はそちらを捜査する様子は見られないとのこと。

21世紀の先進国に数えられるロシアでこうした魔女狩りを思わせる宗教裁判のような事態が進行していることに驚かされます。しかし、よく考えれば日本でも同様のデマによる炎上や家族の職場への電凸、捜査機関の恣意的な捜査などはきりがないほど発生しており、決して遠い国の特殊事例でないことは理解しておいた方がよさそうです。

Russian Man Faces a Year in Prison For Denying the Existence of God Online Oddity Central - Collecting Oddities