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世界で一番知られたミニマル・ダンスミュージックと言えばこの楽曲しかあり得ません。詳細は以下から。
フランスの作曲家モーリス・ラヴェル作曲の「ボレロ」。クラシック音楽や、音楽そのものに興味がない人であっても学校の音楽の時間に聞かされたり、テレビや映画に使われていたりで必ずどこかで聞いたことがあるはず。
ボレロというのは元々はスペイン起源のダンスミュージック。3拍子で歌にカスタネットやギターのリズムが入り、1人かペアで踊るダンスで、19世紀にヨーロッパ全体に広まりました。こうした中で1928年に生まれたのが世界的なマスターピースとして知られることとなったラヴェルの「ボレロ」なのです。
この動画の演奏は1930年1月にラヴェル本人がコンセール・ラムルー管弦楽団を指揮して演奏、録音を行ったもの。当時からセンセーションを巻き起こしたこの曲の、作曲者本人の意図はどんなものだったのでしょうか?
Maurice Ravel conducts BOLERO (1930) - YouTube
この曲は最初から最後の2小節のコーダの直前まで、およそ15分間に渡って同じリズムが繰り返され、メロディも2つのパターンのみ。しかも曲全体がひとつのクレシェンドによって貫かれているという、極めてユニークな構成を持っています。
この構成を最も思い起こさせるのはミニマル・ミュージックであり、その中でもテクノなどに見られるミニマル・ダンスミュージック。反復とその中での変化はスティーブ・ライヒ的でもあり、なおかつダンスミュージックとして確立されているところは驚異的。
バレエ音楽として数々の名演が行われたことは言うに及ばず、このボレロを用いた1984年のサラエボオリンピックにおけるイギリスのフィギュアスケート選手ジェーン・トービルとクリストファー・ディーンのペアは、史上初となる審査員全員からの満点を得て金メダルを獲得しています。
Torville & Dean - Bolero - '84 Olympics - HQ - YouTube
もちろんボレロに惚れ込んだのは「ダンサー」たちだけではありません。ギターの神様としてしられるジェフ・ベックによるカバーはこちら。
Jeff Beck - Beck's Bolero - YouTube
こちらはフランク・ザッパによるもの。
Frank Zappa - Bolero - YouTube
日本ではジャズピアニストの山下洋輔と世界的和太鼓奏者の林英哲がカバーしています。
Eitetsu Hayashi - Bolero part1 林英哲&山下洋輔 - YouTube
こちらのアンジェリーク・キジョーによるカバーもバリバリにかっこいいです。
ANGELIQUE KIDJO - LONLON (RAVEL'S BOLERO) - YouTube
2016年5月1日に本国フランスで著作権が切れてパブリック・ドメインとなった「ボレロ」。今後さらにインスピレーションの源として多くの使われ方をされてゆくことになりそうです。ミニマル・ミュージック好きもダンス・ミュージック好きもその原点のひとつとして、15分間じっくりと耳を傾けてみてはいかがでしょうか?
Hear a 1930 Recording of Bolero, Conducted by Ravel Himself Open Culture
(Photo by Wikipedia)
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