以前訪れた大阪市の中津でカオスかつアンダーグラウンドな月一イベントが始まったとのことで突撃してみました。
大阪の代表的な繁華街のひとつ、キタから徒歩で10分程度の距離にある中津。再開発の波のほんの少し外側にあるこの中津はちょっとレトロで、ある種の人を惹き付ける不思議な魅力に溢れた街でした。
先日は中津の街と、マニアには有名な高架下を歩いてみましたが、この中津高架下で最近毎月第3日曜日に音楽やフリマのイベント「中津高架下夜市祭」が始まったという話を聞きつけ、実際に訪れてみることにしました。
会場となる中津高架下へは、阪急中津駅の改札を出て阪急の高架沿いに左手に300mほど進みます。突き当たりを左に折れ、高架の下を50mほど進むと右手側に会場のひとつ、前回の取材でも訪れたマルコノスタルジがあります。ちょっと分かりにくいので以下に地図を掲載します。
会場となる高架下の入り口。Moulin Kitchenさんというお店があります。
お隣がマルコノスタルジ。しかし今回のメインステージはもうちょっとだけ先です。
素敵なウェルカム看板とその後ろのスピーカーの山がたまりません。
夜市エリアです。セカンドハンドのフリマはもちろん、ものづくりをしている人の出店が多く、自作のアクセサリや服、小物雑貨などが売られています。
会場の奥ではアメリカンアンティークショップとアウトドアショップが営業中。中津高架下夜市祭の参加者もふらりと訪れており、相乗効果となっている印象です。
開催時間は15時から23時。19時頃から人がどんどん増えてきました。
こちらがメイン会場。ライヴと飲食の出店が行われています。
高架下ならではの無骨にして無駄のない構造にグッと来ます。かなり音は響きます。
音楽はまさにノンジャンル。バンドからセッションから、DJでも4つ打ちのダンスミュージックもあればヒップホップもありました。カオスなミックス感が高架下のアンダーグラウンドな雰囲気と絶妙に合っています。
そしてここに来ていたお客さんは特定のジャンルや目当てのアーティストだけにこだわらず、音が避ければ楽しんで踊るというマインドの人が多かったように感じました。突然全く違うタイプの音になってもぐいぐい着いてくる感じはとても大阪らしいですね。
ちょっとセッション形式になってくると、どこまでが本当のメンバーで誰が飛び入りなのかも分かりませんが、盛り上がって楽しんでしまうのが中津流なのでしょうか。
エスニックなライトでそっと空間が演出されていたり、その隣にはスケートボードが立てかけられていたり、関わっているカルチャーの幅広さを何度も感じさせられました。
音楽が鳴っている間も外では夜市は続いています。お客さんは常に流動的で、帰る人がいれば新しく来る人がいて賑わっています。
マルコノスタルジはバーを出していました。
こちらはタコスとカレーの出店。どちらも美味しく頂きました。他にもおにぎりやフレンチトーストなど、いくつかフード出店もあり、空腹で行くのがオススメです。
この中津高架下は以前から面白いお店が多く存在しており、知る人ぞ知るスポットでしたが、数年前から徐々に再開発の名の下に立ち退きを迫られ、2013年に耐震補強工事を理由に一斉立ち退きを求められることになりました。
ですが、この唯一無二の空間を愛する人は多く、現在中津高架下を守る会が吉村大阪市長宛に「中津高架下のまちづくりにご支援を!」とした署名キャンペーンを行うなど、ぜひ残そうとする動きも活発です。
新たに始まった「中津高架下夜市祭」も、こうした動きの一環として始められたもの。実際に中津高架下という空間を活かした文化活動を発信し、その魅力を多くの人が理解することで、安易に再開発するのではなく、今あるこの環境のポテンシャルを最大限に発揮するという方向性へのシフトの提案と言うことができるでしょうか。
中津高架下夜市祭は今回の10月16日に開催されたもので第3回目。既にこれだけ多くのカルチャーの人を惹き付けるイベントに成長しており、今後の展開次第では中津という街、そしてこの高架下のあり方にも影響を与えうる存在になりそうです。
実際に中津高架下のアドバンテージでもある「大音量で音楽を演奏しても苦情が来ない」場所は大阪などの大都市で見つけることは困難を極めます。キタから徒歩10分あまりというアクセスの良さ、そして中津という街自体のレトロな雰囲気など、今後この場所が化ける可能性は大いにあり、「中津高架下夜市祭」はまさにその急先鋒と言うことができるかも知れません。
大阪市の再開発は再開発後のヴィジョンを明確にしていません。そのような今あるものを潰すだけの再開発ではなく、草の根で盛り上げようとしている動きをサポートする形での再開発が大阪をよりよく、さらにオモロイ街にしていくのではないでしょうか?
「中津高架下夜市祭」は年内は第3日曜日に開催されることが決定しています。1月の予定は気候の関係もあり現在未定ですが今後も続けてゆくとのこと。興味のある方は一度訪れてみると、大阪のもうひとつ別の顔を知ることができるかもしれません。
朝日新聞出版 (2014-10-07)
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