インドの学校が教育の普及のために斬新な取り組みを始めています。
今も実質的な身分制が色濃く残り、極端な貧富の差が存在するインド。貧しい低カーストの子どもたちの中には学校にまともに通えない人が大勢存在しています。
そんなインド中央部のチャティスガル州のとある学校では、子どもの授業料を払えない親に対し、授業料を免除する代わりに植樹とケアを依頼するという取り組みが始まっています。
この取り組みが行われているのは州北部の街アンビカプルにあるShiksha Kuteerという4~5歳の子どもを対象とする小さな学校です。
貧困からこの学校の授業料が払えない親は、その支払いの代わりに若木を植えて面倒を見ること、その木が枯れてしまった場合は代わりの木を植えることを求められます。もちろんそのためには幾ばくかのコストが掛かりますが、一般的な授業料よりは安価な上に、環境の保護にも役に立つことになります。
Shiksha Kuteerは児童35人程の小さな学校で、この取り組みを行っているのはまだここだけ。ですが既にこの村では制度を利用した親たちによって700本を超える木が去年1年間で植樹されています。
この取り組みは地域の専門家やビジネスオーナーらが高騰を続ける教育費への対策として構想されたもの。インドは国家予算の3.9%しか教育に支出しておらず、そのため子どもの教育のために親は授業料に加えて教科書や学用品、制服なども自前で揃えなければなりません。
さらに、2008年から2014年の間に教育に掛かる民間の負担は175%まで増え、生徒1人当たり6788ルピー(約12000円)に増加しました。富裕層にとっては何でもない金額ですが、インド各地に多数存在する貧困層にとっては支払うのが難しい価格です。
こうした教育費の高騰はインドの教育に大きな悪影響を与えており、2014年のレポートでは小学2年生に当たる子どもの20%が1から9まで数を数えられなかったとのこと。ゼロを発見し、現在もICT分野でめざましい活躍を続けるインドとしてはちょっと信じられない数値です。
また、インドでは中国に劣らず大気汚染も深刻で、11月には首都のデリーで大気汚染が原因で学校が休校になるという事態も発生しました。植樹は気の長い話ではありますが、人口12億人を超えるインドの各所でこうした取り組みが本格化すれば少なからぬ影響がありそうです。
ただし、もちろんこれは民間が善意で行っているもので、日本で言えば子ども食堂と近い取り組み。最終的には国が責任を持って子どもの教育を充実させなければ未来がないことは言うまでもありません。
A school in India is asking parents to plant a tree instead of paying fees - ScienceAlert
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