敵性言語は使用不可という時代も目の前なのかも知れません。詳細は以下から。
2019年4月から小学校の道徳が評価を伴う「特別の教科」となりますが、それに合わせた教科書への初めての検定が行われました。この件に対するNHKの報道がネットを大震撼させています。
NHKの報道によると
小学1年生のある教科書では、申請段階では、物語に友達の家のパン屋を登場させていましたが、「国や郷土を愛する態度」などを学ぶという観点で不適切だと意見がつけられ、教科書会社は「パン屋」を「和菓子屋」に修正しました。
とのこと。修正した教科書会社は「日本文化であることをわかりやすくするため和菓子屋に修正した」と述べています。
「国や郷土を愛する態度」を学ぶに当たって友達の家がパン屋だと何がどのように不適切で、和菓子屋だと適切である理由がまったく理解不能ですが、まさかパンが外来の食品で和菓子が日本の食品という話だとでもいうのでしょうか?
友達の家がパン屋だと「国や郷土を愛する態度」が学べないということであれば、そんなことで学ぶ「国や郷土を愛する態度」などは狭量な排外主義に他なりません。パンは日本で独自の進化を遂げてあんぱんのような他にはないソウルフードを生み出していますし、アンパンマンという国民的なキャラクターにまでなっています。
蛇足になりますが、和菓子で有名な京都市は神戸市に次ぐ全国2位のパンの消費量を誇っていますし、コーヒーに至っては全国1位の消費量であることを付け加えておきます。
外来のものと日本古来のものがブレンドされて新たな文化を生み出すのは日本の古くからの伝統といってもいいでしょう。遣隋使の時代から現在進行形の21世紀まで、文字を始め人や物や制度の多くが海外からもたらされています。そうした日本の長所を切り捨て、薄っぺらい見た目だけの日本らしさに飛びつけば、その先にあるのは孤立と停滞だけです。
第二次世界大戦中には英語が敵性言語としてストライクを「よし」、アウトを「ひけ」などと言い換えており、長らく間抜けな笑い話としか見られていませんでしたが、2017年にもなってどこからどう見ても馬鹿げた文句が付けられるようになり、実際に教科書の記述まで変更させられる事態であるということは、重く受け止めなければ鳴りません。
なお、道徳を「特別の教科」とすることは子どもたちの内心を評価することはできないなどの理由で、戦後一貫して見送られてきたという経緯があります。教科化が行われた背景には全国で深刻ないじめ問題が相次いだことや他の教科と比べて軽んじられているなどの指摘を受けたもの。
道徳の検定では「家族愛」や「生命の尊さ」など22項目を盛り込むことが求められましたが、離婚に伴うシングルマザーの増加など家族の形が多様化している中で、国家が求める家族像の強制には批判も少なくありません。
道徳の教科書を検定する大人たちの道徳心からまずは検定しなければならなそうです。
「道徳」教科書の初検定 8社すべてが一部修正し合格 _ NHKニュース
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