ものの数秒間で私たちを楽しませてくれるGIFアート。しかし、現代の誰もがその結末を見届けられない1000年間にわたるGIF作品が登場しました。詳細は以下から。
動画を切り取ったり画像を切り替えたり、小手先三寸のアイディアとテクニックで私たちを笑わせたり感心させてくれるGIFアートの数々。ネットを見ていても10秒を超えるものにはあまり出会いませんが、それどころではない作品です。
フィンランドのアーティスト、Juha van Ingenさんが作成したGIF作品はこれから1000年間、3017年まで続く世界最長のGIFアートです。「As Long As Possible(略してASLAP)」と名付けられたこの作品は4814万288フレームからできており、1フレーム当たり10分間掛かります。
ただし、ASLAPは特別面白いGIFアートではなく、黒い画面に白い数字が映り、10分ごとに増加していくだけのもの。Juha van Ingenさんはインタビューに対して以下のように答えています。
「この作品について伝えたいのは『永遠に続くということはありえない」ってことなんだ。GIFはデジタルフォーマットの中で最も単純なアニメーションのフォームだ。もしこれですら続かないのであれば、他の芸術はどうなる?絵画は?音楽は?映像は?文書は?」
ARS17 - Juha van Ingen ASLAP - YouTube
そんなASLAPの展示と保管に名乗りを上げたのがどこあろうヘルシンキ現代美術館。1000年後まで責任を持ってこの作品をコレクションとして管理し続け、展示が終わった後もアーカイブとして可能な限り「再生」させ続けるとのこと。
しかし1000年の間にはどんな不即の事態があるか分かりません。Juha van Ingenさんはそのためにヘルシンキ現代美術館に展示されたものとシンクロさせた複数のプレイバックユニットを物理的に離れた地点でディスプレイさせており、どれかに問題が生じた場合、別のユニットが代わりに設置されるとのこと。
また、全てのユニットが同時に破壊されるという事態が起こった時のために、Juha van IngenさんはタイムカプセルにオリジナルのGIFファイルをバックアップしており、フォーマットとしての仕様や紙媒体にプリントされたコードも同様に封印されているため、復元が可能とのこと。
最早これが単なるGIF作品ではないことがお分かり頂けたでしょうか?この作品は進行と保存とはどういうことかという疑問を投げかけ、シンクロさせて分散させたリスク回避の方法やタイムカプセルでのバックアップまで含めたアート作品だということ。
フィンランドといえばオンカロという高レベル放射性廃棄物最終処理場を世界で唯一建設中の国。10万年の未来まで極めて危険な放射性廃棄物を保管していくという困難なプロジェクトとどこかパラレルなものを感じさせてくれます。
生きている人間から見れば1000年後も10万年後も死んでからはるかに遠い未来の話。ASLAPはそんな手の届かない未来に向けて伸ばされたささやかな腕なのかもしれません。
The World's Longest GIF Will End in the Year 3017 _ Oddity Central - Collecting Oddities
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