科学の手法によって丁寧に切り崩され、切って捨てられました。詳細は以下から。
人類に起因する気候変動が発生しており、地球環境がまさに変わりつつある。これは現代科学の圧倒的なコンセンサスとも言える現象です。実際問題として、97.1％の地球の気候に関する科学論文がこの論を支持しています。
しかし残りの2.9％の論文に依拠し、「気候変動など起こっていない」もしくは「気候変動は起こっていても人類に起因するものではない」「気候変動は悪いものではない」などと主張する勢力が跋扈しています。
その筆頭とも言えるのが第45代アメリカ合衆国大統領ドナルド・トランプその人であり、また大統領選で彼と争った共和党のテッド・クルーズ上院議員ら国家の中枢に関わる人物の中にまでこうした主張が蔓延するという極めて危機的な状況が起こっています。
実際にトランプ大統領就任と同時にホワイトハウスの公式サイトから気候変動への言及が全消去され、今年6月には気候変動への国際的な取り組みを決めた2015年のパリ協定から離脱すると宣言しており、気候変動否定論は国際的な問題となっています。
All References to Climate Change Have Been Deleted From the White House Website https://t.co/DEZ6k8eMun via @motherboard #Resist
— Jonathan D. Lovitz (@jdlovitz) 2017年1月20日
ではこの気候変動否定論にどれほどの根拠があるのか。気象学者のKatharine Hayhoeさんは仲間の研究者らと共に、この2.9％に当たる38本の10年以内に発表された査読済みジャーナル掲載論文を再調査しました。
その結果、38本全ての論文に仮説、方法論、分析などにおける誤りがあることを発見しました。そして、それらを直した場合に導き出される結論は人類に起因する気候変動を肯定するものだったのです。
Facebookでこの事実を述べた投稿は大きな反響を呼んでいます。
Is there such a strong consensus in the scientific community on climate change simply because anyone proposing alternate...
Katharine Hayhoeさんの投稿 2017年9月4日
当然ながら再現が可能でなければ科学論文としては欠陥品でしかありません。Katharine Hayhoeさんらが厳密な再現を試みれば、そこに内包される欠陥に次々と行き当たるのは当然の帰結です。
同じ研究の著者のひとり、Dana Nuccitelliさんはガーディアン紙の取材に対して「研究ではまたどうしてこれらの論文が97％と違う結論に至ったのかも調査した」としています。
それによると、これらの研究を行った科学者は都合の良いデータばかりを選択して採用し、欠陥のある方法論を用いており、その結果として「人類に起因する気候変動は起こっていない」という間違った結論に達したとのこと。
その中でも重要なコンテクスト情報をなおざりしにしたり求める結論に合致しない鍵となる情報を無視するなど、結論ありきの論文の構成が発見されたとしています。
科学論文に対して科学の作法で徹底的に完全論破しており、もはや気候変動否定論は利害関係者による政治的主張に過ぎないというところまで押し込まれています。それでもなお「米国と市民を守るという重大な義務を果たすため」という理屈で気候変動を否定し続けるのであれば、環境破壊者としての汚名を着るハメになるのは間違いありません。
なお、Katharine HayhoeさんはFacebookで寄せられる質問は「こんなに気候変動肯定論が広まっているのは否定論が発禁にされたり圧力を掛けられているからではないか」という陰謀論に基づいたものとのこと。これに対しては「気候変動否定論の査読論文はどれひとつとして葬り去られた事実はなく、私たちは全て検証できた」と回答しています。
日本でも一時期「気候変動を煽るのは原子力業界の陰謀！！火力発電から原子力発電にシフトさせようとしている！！！」といった陰謀論が流行しましたが、これは「気候変動否定論は石油業界の陰謀！！これまで通り石油をたくさん使わせようとしている！！！」並にアホらしい妄想である事に気付くべきでしょう。
Scientist Slams Climate Change Deniers In Brilliant Viral Post _ IFLScience
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