日本人にとっては当たり前の様に飲んできた水が最新トレンドになっていますが、要注意案件です。詳細は以下から。
◆1リットル400円超えの高価なトレンド…しかし品質は?
綺麗な湧き水や井戸水、登山やキャンプの際に山を流れるせせらぎから直接飲む天然水、どれも日本人にとっては昔から当たり前に存在していた飲み水でした。しかしそれは日本の地形や気候によってもたらされた豊かな水資源であり、海外ではまた事情が違います。
3年ほど前からアメリカ国内では、ペットボトルの水でもフィルターを付けて濾過した水でもない汲んだままの水が「ローウォーター」なる名前で商品化され、今やシリコンバレーの企業家らを中心に巨大なムーブメントになろうとしているのです。
値段は、例えばローウォーター草分けであるLive Water社の製品では2.5ガロン(10リットル)で36.99ドル(約4200円)という極めて高価なもの。24リットル分のペットボトルの水がAmazonで1166円で買える事を考えると約8.5倍の値段です。リフィルも可能ですがこちらも14.99ドル(約1700円)。
日本で飲まれる水道水以外の天然水は環境省などが「名水百選」「平成の名水百選」などを選定し、個人所有の井戸水についても飲用井戸として厚生労働省が検査や衛生対策を義務づけています。こうした中で名水がペットボトルで販売されるケースもありますが、あくまで厳しい基準をパスした良好な水質が保証されています。
しかしローウォーターはそのような厳格な基準をクリアしたわけでもなく、フィルタリングすらせずに採取された水をそのまま飲むという危険なものです。
◆首謀者はガチガチの陰謀論者でした
ローウォーターの生産者らはフィルターを使う事によって有用なミネラルが除去されてしまうと主張。さらにはこれまでのペットボトルのミネラルウォーターも藻類を除去するための紫外線やオゾンガスによる殺菌のせいで善玉菌が死滅してしまうとします。
Live Waterの創始者であるMukhande Singhさんは本当の水が新鮮であり続ける「消費期限」は月の巡るサイクルである1ヶ月だと言います。「時間が経ちすぎると本当の水は緑色に変色する。でも人々の飲む水は死んでいるから緑色に変わることすら知らないんだ」とのこと。頭を抱えるしかありません。
さらに水道水については「水道水なんてものは産児制限薬を投入された便所の水だ。クロラミンにフッ化物、私を陰謀論者だと言えばいい。でもフッ化物はマインドコントロール薬で歯の健康になど関係ないんだ」という意味不明な高説を垂れています。
お分かり頂けたでしょうか?つまりは極端な健康原理主義者が陰謀論やスピリチュアリズムと結びつきつつシリコンバレーの富裕層の移り気な注意を惹き付けた事で発生したムーブメントというわけです。
さすがに水については人一倍こだわりを持つ日本でこうした付け焼き刃のムーブメントがトレンドとなる事は考えにくいですが、ゆめゆめ宣伝文句に踊らされることのないよう注意したいものです。
Unfiltered Fervor_ The Rush to Get Off the Water Grid - The New York Times
The Latest Wacky Food Craze, 'Raw Water,' Could Kill You
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