ある意味想像と真逆な結果になっています。詳細は以下から。
音楽好きなら「音楽に国境はない」というフレーズを聞いたことがあると思いますし、海外の音楽を聴いて自ら実感した経験もあるのではないでしょうか?
音楽というものはそれぞれの国や文化に根ざした歴史を持ち、音階やメロディー、演奏される楽器や歌われる歌詞の言語などに深い影響を与えています。
ですが、そうした音楽は産まれた国や文化を越えた全く違った場所で演奏されたとしても、聴く人に強い感動を与えることがいくらでもあることは改めて説明するまでもありません。
シタールやタブラといったインド古典音楽、オーストラリアの先住民族アボリジニのディジュリドゥ、アフリカのジャンベやムビラ、アサラトなどの楽器は日本でもお馴染みですし、日本の和太鼓や三味線が海外でライヴを行うことも珍しくありません。映画「AKIRA」での芸能山城組や「攻殻機動隊」での姫神の音楽が映画と共に世界に熱狂的に受け入れられた事も忘れることはできません。
さらに言うなればレゲエやサンバ、ボサノヴァのようなラテン音楽は私たちの日常に違和感なく溶け込んでいますし、クラシックやジャズ、ロックなどは外来の音楽だと意識することもなく聴いています。つまり文字通り「音楽に国境はない」というお話ですが、科学の立場からもこれを裏付ける研究が行われており、ちょっと面白い結果になっています。
ハーバード大学の心理学者Samuel Mehr博士がジャーナル「Current Biology」に発表した最新の研究によると、人間は持って生まれたバックグラウンドに関係なく、ある音楽を聴いた時にその音楽の持つ雰囲気や、その曲が子守歌なのか、ダンス音楽なのか、宗教音楽なのかを把握できるとのこと。
しかし、不思議なことにその曲がラブソングであった場合に限ってはそれと理解することは難しいという結果が出ています。研究の共著者であるManvir Singh博士は以下のように指摘します。
我々人類には共有された心理が存在し、それが音楽においても根幹となるパターンを形作っているため、理解が及ばないほどの文化の違いすら越えて理解できるのです。こうしたことから、美的な刺激に対する私たちの感情や振る舞いの上での反応が全人類に渡って非常に似通っていることが分かります。
実験では60の異なった国々から750人の被験者に対して世界中の86の異なった小規模な社会で歌われている楽曲の短いフレーズを聴いてもらいます。その上で被験者らにその曲がダンス音楽なのか、子守歌なのか、病を癒やす曲なのか、ラブソングなのか、死者を弔う歌なのか、物語を吟じているのかを問いました。
被験者らはこれに加え、歌い手の数や性別、使われている楽器や雰囲気、テンポや楽曲の快さなどを質問されました。
多くの被験者は演奏された楽曲を全く知らなかったにもかかわらず、その楽曲がどのような機能を持ち、どのように歌われているかを探り当てることができました。
しかし、既に述べたようにラブソングに関してのみは被験者らは正確に当てることができず、研究者らもなぜこのような結果になったかについては不明であるとしています。
なお、もっとも被験者らの正答率が高かったのは全く性質も雰囲気も真逆な子守歌とダンス音楽であるとのこと。どの国でも文化でも、子どもを寝付かせる音楽と魂と肉体を揺さぶり高揚させる音楽は殊更に共通だったということになりそうです。
Despite Cultural Differences, Humans Understand Each Other's Music _ IFLScience
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