「橋の下世界音楽祭2018」のフォトレポート第一弾をお届けします。
どのようにレポートを書けばいいのかと考え、やはり時系列でこの橋の下世界音楽祭(以下、橋の下)をどのように歩き、体験し、感じたのかを書いていく以外にないという結論に達しました。
解釈し、キレイにまとめるにはあまりにも自由であり、捉えようのないはじけるようなカオスが満ち満ちていたからです。
筆者が大阪の友人らと共に車で豊田スタジアムに到着したのは祭りの2日目、土曜日の昼過ぎのことでした。矢作川を越え、スタジアムをぐるりと回り込むようにキャンプサイト用の駐車場に向かい、パーキング用とテント用のタグを受け取って誘導に従い、駐車場の奥へと進みます。
橋の下は入場料は無料ですが、パーキングとキャンピングにそれぞれ費用が掛かります。今年はどちらのチケットも争奪戦になり、あっという間に売り切れたとのこと。
車を停めて会場方面を眺めてみると、巨大な豊田スタジアムと豊田大橋が目に飛び込んできます。周囲に並ぶのは日本全国のナンバープレートの自動車たち。確認した限りでは北海道から九州までバラエティに富んでいました。
まずは駐車場の奥のまだ空いているスペースに自分たちのテントとタープを建て、テーブルや椅子をセッティング。テントサイトはかなりひろめでしたが、手前のサイトはほぼ満員。今のうちに建てておかないと、酔っ払ったり暗くなってからでは大変なこと間違いなしです。
建てている最中に名古屋在住の知人に久しぶりの遭遇。去年もそうでしたが、このような突然の再開は驚くほど頻繁に起ります。音楽が好きで、ライヴやフェスなどに行っている人であればあるほど、山ほどの再開がここには待っています。
話を聞くと、13時から浅野忠信のバンド「SODA!」がライヴで、15時からなんとオーガナイザーの「Turtle Island」のライヴだとのこと。そう、今年は出演者が前日に発表され、タイムテーブルは現地で配られる紙媒体のみで告知されるという「朝霧ジャム」的な仕様となっていたのです。
「Turtle Island」は毎年最終日の日曜日の大トリを飾っていたので、この展開はかなり意外、というか寝耳に水。これだけは聴き逃せないので、急いで建設を済ませて会場に行ってみることにしました。
テントサイトから歩くと一番近いのが草原ステージ。抜けるような青空の下、気持ちのいいなだらかな芝生の上にそのステージはあります。着いた時は阿波踊太閤連による阿波踊ワークショップが行われていました。
橋の下の大きな特徴のひとつは、このような日本を始めとしたアジアの祭りや伝統的な音楽へのリスペクトとフィーチャリングにあります。これによって橋の下の音楽祭としてのあり方を他にはない独自のものになっていますが、その様子は追って見ていきます。
草原ステージの周辺には多数の屋台や出店が作られています。飲食から服、小物、マッサージなど、売り物もテイストも多種多様。こういう万華鏡のようなきらびやかなカオスが会場のあちこちに散りばめられています。
関東のクラブ好きならピンとくる江ノ島オッパーラのお店も。
こちらは表現集団Antibodies Collectiveのブース。廃材などを組み上げており、これ自体が作品。
竹で組まれた子供向けの遊具です。最近の公園では撤去されてしまいそうな自由さ。素晴らしい。
こうしたオブジェが点在しており、日常が非日常にするりと取って代わられます。
ところどころに橋の下の電力を賄うソーラーパネルが設置されています。
天鳥船を思わせる船が建造されています。
こちらは鍛冶屋。みんなで剣を作るワークショップをやっていました。
会場の中心、橋の下に向かってみましょう。
浅野忠信のSODA!のライヴが始まっていました。すごい人です。
ライヴを見終えるとみんな三々五々、この空間でのひとときを楽しみに行きます。
メインとなる橋の下はこのように横丁になっており、本部やドリンクブースを始め、各種店舗が並びます…が、もちろん一筋縄ではいきません。
こちらが「銀馬車パブ」。参加者たちが浴びるように飲むビールをはじめとしたドリンクを全力で販売してくれています。
こちらは京都の名物居酒屋「カドヤ」。フジロックフェスティバルで出店しているのを見たことのある方もいるのではないでしょうか?
ここにさらっとあるのが本部。タイムテーブルの掲載された瓦版はあっという間に配布終了していました。
それでも大丈夫。こうして張り出されているのでスマホで撮影して必要な時に拡大して見ればいいのです。みんなパシャパシャ撮ってました。2018年の光景ですね。
本部には投げ銭箱があります。ここで2000円以上「投げ銭」をすると、その年だけのオリジナル手拭いをもらえてしまうのです。上にずらりと掛かっているのがそれ。もちろん筆者も投げ銭してひとつ手に入れました。
「投げ銭」とは何か?それについて書かれた文章がこちらに掲示されています。これは「投げ銭とは」と題されていますが、まさに橋の下とは何か?どんな音楽祭でどんな考えのもとに作り上げられているのかをこの上なく明快に描き出しています。
「自分の見たい世界、居たい場所は自分で作るのです」「『FREE/自由』とは、自分で考えるという事」もうこれだけで心の一番奥を撃ち抜かれてしまいます。
橋の下という場所にいてこの文章を読んだ時、これが単なる理想や希望ではなく、この世界に「橋の下世界音楽祭」という現実として作り上げられているという厳然たる事実に気付かされるのです。
そうして見回すこの橋の下は文字通りの「FREE/自由」だという事を体と心で思い知ることになります。そういうことが本当に可能なんだということに、稲妻に打たれたような衝撃を受けるのです。
そんな衝撃と感動を胸に、ふと見上げるとそこには「米子大仏」が鎮座しています。絶対これ夜は目が光るだろと思わせてくれる自由な造形です。
物販コーナーです。出演したアーティストらのCDやバンドTシャツなど、グッズがずらりと並んでいます。
山車のような日本酒バーがありました。
こちらは刃物屋。もうここで暮らせるんじゃないかと思えるほどにひとつの街ができあがっています。そう、ここは祭でありながら街でもあります。ハレでありながらケとも断絶していない、なんとも不思議なボーダーレスを感じるのです。
橋の反対側はさらにマーケットとフードエリアが広がっています。
てぬぐい屋さんに沖縄の染物のお店です。
モンゴルテントがありました。よく見ると「切腹ぴすとるず寄席」というパワーワードが…。
遊んでいるとお腹が空いてきますが、どこも美味しそうで目移りしてしまいます。
猟師が作る伝統的な罠で捉えたイノシシを使ったししこつまぜそば。まずはこれにチャレンジ。
野外フェスの屋台と言うにはこの上なく本格的。臭みもなくそれでいてしっかりとパンチが効いており、ビールをごくごく飲みながらかっ込みたくなります。橋の下の特徴はフードもマーケットも出店のレベルの驚くほどの高さです。この後も何度も驚かされることになります。
こちらでは人形を使ったパフォーマンスを行っていました。昨年と比べ、こうした小さなブースやステージでの自由な音楽やパフォーマンスがあちこちで行われているのが今年の橋の下の特徴でした。
ライヴペインティングの作品。一見完成したかに見える作品も、後で来るとさらに大きく展開していたりします。
竹を組み合わせた巨大なオブジェ。もちろんこちらも遊べる仕様になっています。
そうこうしているうちに「Turtle Island」のライブです。フロアに向かいます。
これが最大の目的というファンも大勢いるため、フロアは超満員。
肩車で祭法被の男の子。間違いなく忘れられない思い出になった事でしょう。
気がつけば巨大なモノノケが乱入です。
こんな山車もフロアに突撃してきます。カオス、とにかく濃密なカオスが充満しています。
これ以上ライヴの内容についてあれこれ語るような野暮はしますまい。ずんずん前まで行きましたが、この写真を撮った後は前列のモッシュピットの中でファンたちと散々暴れて最後まで楽しみ尽くしました。
これまでの橋の下であれば大トリだった「Turtle Island」のライヴがここで終わったわけですが、祭はさらにここから盛り上がっていきます。次回は黄昏が降り、夜の闇に熱く燃え上がる祭の様子をお伝えします。
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