ヴィーガンでも食べられる培養肉、なんと日清と東大がブレイクスルーを成し遂げました。詳細は以下から。
以前からBUZZAP!でもお伝えしてきた、動物の細胞を体外で組織培養することによって得られる「培養肉」。畜産には大量の水や飼料、土地をはじめとした膨大なリソースとエネルギーが必要な上、家畜の呼吸に伴う二酸化炭素、そして糞尿の排出といった環境負荷も発生します。
世界人口が70億を超えて今後も増加が見込まれる中で、限られた地球環境の中で畜産を続けていけばいつか限界が来ることは既に多くの識者が指摘しているとおりです。培養肉は牧畜に掛かるコストを大きく削減させ、食糧不足を解決するための方策として、昆虫食と並んで大きな期待が寄せられていました。
また、動物の命を奪ったり虐待することなく作成できることから、ベジタリアンやヴィーガンも食べられる肉ということでも注目が集まっています。例えばインドなどではヒンドゥー教徒を中心に数億人のベジタリアンがいるため、マーケットとして無視できるものではありません。
これまでに既にミンチ状の培養肉は作られており、培養肉ハンバーガーが実際に試食できるレベルにまで達したのは2013年8月の事。こちらがその時の培養肉です。
それから5年半、日清食品ホールディングス株式会社と東京大学 生産技術研究所の竹内昌治教授の研究グループが牛肉由来の筋細胞を用いて、サイコロステーキ状のウシ筋組織を作製することに世界で初めて成功しました。
ミンチ肉と違い、サイコロステーキ状の培養肉を作るためには単に筋細胞を増殖させるだけでは肉本来の食感を再現することはできません。そこで日清と東大は筋肉に含まれる筋組織の立体構造を生み出すために筋細胞にビタミンCを与えます。
加えて厚みのある培養肉を作るためにコラーゲンゲルの中で培養し、筋組織に特有の縞状構造 (サルコメア) を持つ、細長い筋組織の作製に成功しています。こうして得られた筋細胞の集合体を積層し、特殊な方法を用いて培養することで1cm×0.8cm×0.7cmのサイコロステーキ状の培養肉を得ることができたとのこと。
実際に培養肉のサイコロステーキを食べることができるのはもう少し先になりそうですが、将来的には「培養ステーキ肉」の実用化を目指すとされています。
サイコロ状という形状からも究極の「謎肉」とも言えそうですが、果たしてお味は謎肉ファンを納得させるものになるのでしょうか?
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