ヒップホップダンス基本技能指導士という資格が彗星の如く現われた頃から、「いつかDJ検定とかもできんじゃね?」というのはクラブシーンにいる人なら一度は聞いた冗談のひとつ。
遂に今回「DJ検定」が始まる模様ですが、それにつけてもクラブシーンでも知る人のいない一般社団法人日本DJ協会とは何者でなのでしょうか。調べてみました。
◆「DJ検定」なるものが爆誕、12月1日から開始
一般社団法人日本DJ協会が“音楽を通して国境を超えた元気な世界を作る”ための一歩として「DJ検定」を開始することが分かりました。
12月1日からウェブサイトで簡易的に受けられる5級からDJ検定を実施するとのこと。なお、検定料金については現時点では明らかになっていません。
日本DJ協会は「DJを100万人にする」「DJを学校教育に取り入れる」というミッションの元に活動する団体とされていますが、「お前らいったい誰やねん?」というレベルで誰も知る人がいません。はてさて、いったい彼らは何者なのでしょうか?
◆一般社団法人日本DJ協会とは?
日本DJ協会の公式サイトは確かにそれっぽく仕立て上げられてはいますが、トップページに掲載されているニュースはこのDJ検定の1本のみ。
ニュースリリースを見ていっても、最も古いもので2019年6月3日の「一般社団法人日本DJ協会がDIGLE MAGAZINEで「Japan Club Music Chart」を公開」となっています。
つまり日本DJ協会などとDJの元締めのような顔をしているものの、大した実績もなく令和になってからこちょこちょ動き出したぽっと出の団体に過ぎないということになります。
また、同団体の橋本達史代表理事は東京の丸の内などでアコースティック音楽の街頭演奏などを行うNPO法人「街角に音楽を」の理事長も務める人物。
加えていしだ壱成が所属し、DJ・音楽家・演奏家・アーティストのマネージメント及びアーティスト派遣を行う「株式会社神南」の代表も務めます。
さらには同社所属アーティストとして「DJ Dragon」名義で活動もしており、長野市主催の60歳以上の市民向けディスコイベント「ダンシングナイトin芸術館」でDJを担当した際のレポートをこちらから読むことができます。
音楽関係の会社の代表で、同様に音楽関係のNPOの理事長であり、地方自治体主催イベントにも絡んでいる人物がこの検定の中心にいる事がご理解いただけたでしょうか。
◆DJスキルは「検定」で計れるものなのか?
DJのスキルは選曲やミックスを含めて多岐に渡っています。例えばスクラッチやエフェクトをいかに使うのか、それとも使わないのかはDJに委ねられていますし、テクニックを駆使すればするほどいいのかといえばそんな馬鹿げた話はありません。
さらにヴァイナルを使うのか、CDやデジタルデータを用いるかといったスタイルも幅広く、3曲以上の楽曲をミックスするケースもあります。
また当然ジャンルによってもDJのやることは大きく違います。コールアンドレスポンスを含むマイクパフォーマンスを行うジャンルがある一方、そんなのは無粋でしかないというジャンルも存在しています。
例えばDJスクールなどで自分の目指すジャンルのそうしたテクニックを習得する意味はありますし、ターンテーブリストらがスキルを競うコンテストの開催などにも大きな意味があるでしょう。
ですが、DJという極めて広く自由な表現活動を「〇級合格」などと一律に判定することには残念ながらどこにも妥当性はありません。
風営法改正(その成否は横に置いても)以降、DJカルチャーを含むクラブシーンは名実ともにアンダーグラウンドに留まらない存在になりました。
EDMを筆頭とした商業的な巨大音楽イベントはもちろん、レストランや各種商業施設、公園などでの野外イベントでライヴ演奏と並んでDJが出演する機会も増え続けています。
こうした検定が出現するのはDJという存在がそれだけ公に認められてきたからとポジティブに考えることもできそうですが、残念ながらこのような検定でDJスキルを推し量ることはできません。
何より「俺はDJ検定2級持ってんだぜ?お前DJとか言ってるけど何級持ってんの?」なんてマウントを取ってくるDJが果たしてクールでかっこいいのか、それを考えるだけでも答えは明らかです。
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