子供時代の能力や環境が大人になってからも大きな影響を及ぼすことは広く知られていますが、身体年齢にも影響があることが判明しました。
ですがこれは卵が先か、鶏が先かという難しい問題でもあります。詳細は以下から。
毎年誕生日が来るたびにひとつ重ねる年齢。生きている限りこうして歳を取ることを避けることはできません。
ですが、実際の年齢と肉体的な年齢は必ずしも比例しません。いつまでも若い人に若いのに老ける人、単に見た目だけの話にとどまらず、筋肉や骨、内臓や免疫機能など、身体年齢は歳が同じでも人によって大きな差があります。
こうした生後のDNAの変化を伴わない後天的な遺伝子の表れ方の変化を「エピジェネティクス」と称し、いわゆる身体年齢のことを「エピジェネティック年齢」と呼びます。これを計るのにDNAメチル化などが現在は主な指標として使われています。
さて、これまでも子供時代の特徴や環境が悪いことで、大人になってからの心身の健康状態に悪影響が出ることは広く知られていました。
では、それらが年老いた時の身体年齢にも影響するのではないかとエジンバラ大学のAnna J.Stevenson博士らは考え、ジャーナル「Translational Psychiatry」に研究結果を報告しています。
Stevenson博士らはそのためにロージアンの1936年の出生コホート研究を使用。これは当時11歳の1091人の子どもたちが対象となっており、被験者の一般的な認知能力や社会的環境などのデータも盛り込まれています。
被験者らは身体能力や健康上の状況や認知能力、遺伝子や生活習慣上の要素、年齢による社会心理学的な様子についてもテストされ、老年期になった73歳と76歳、79歳の時に追加調査を受けることになります。
こうしたデータを調べたところ、11歳時点でIQが低かった子どもは身体年齢の老化が早く、また人生後半での身体能力の低下とも関連が見られました。
加えて身体年齢といくつかの身体的、認知的、また生活様式のあり方に深い相関関係も見つかりました。特に11歳時点での認知能力と教育を受ける年数については際立った関係性が見られました。
気を付けなければならないのは、これらは因果関係ではなく相関関係ということ。これまでの研究では子ども時代の知性の高さがその後の人生のあり方と深い関係があり、それが心身の健康に違いをもたらしていることが分かっています。
つまり、知性の高い子どもは社会経済的に豊かになる可能性が高いと同時に、健康へのリテラシーや病気のマネジメント能力も高い可能性が高いということ。知性の高さがそのまま身体年齢の若さを意味するわけではなく、あくまで健康への意識や病気を避けるために行動することが功を奏したということになりそうです。
とはいえ、しっかりと子どもの頃から健康や病気に意識的であればあるほど、歳を取った時により若々しく、健康的でいられる可能性が高くなることには間違いはなさそうです。
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