新型コロナウイルスと共存する「新しい日常」でのライブハウスは、これまで私たちが体験してきたものとはまったく別物になりそうです。詳細は以下から。
◆予想を超えるライブハウスの新ガイドライン
6月19日以降に営業再開が可能となるライブハウスについて、政府やライブハウス業界が取りまとめようとしている「新しい日常」における新ガイドラインがこれまでの音楽ファンにとっては異次元なものになっています。
FNNの取材によると、政府の取りまとめたガイドラインでは
・出演者と客の間に2mのソーシャルディスタンスを確保する
・店が狭く2mを確保できない場合は、フェイスシールドを着用する
・客同士は1mのソーシャルディスタンスを保つ
といった内容が盛り込まれています。また小規模なライブハウスの団体「日本音楽会場協会」のガイドラインは
・演奏中、歌手の前には飛沫を遮断するものを設置して、ほかの演奏者はマスクを着用
・観客が歌う行為は禁止
・握手会は自粛(ただしすべての握手の間に手をアルコール消毒すれば実施できる)
といった案を検討しているとのこと。
◆ライブハウスの「新しい日常」の風景は?
これらの案を総合すると、演奏者の中でも歌手はフェイスシールドを着用するか観客との間にアクリル板などを設置し、演奏者と観客の間に2m程度の距離を置くことに。これによって演奏者がフロアに乱入したりダイブすることは不可能となります。
また観客同士の濃厚接触を避けるために間隔をあけ、コールアンドレスポンスを含めて歌ったり叫んだりも禁止。モッシュという文化が完全に禁止されることになります。
加えて、1m四方にひとりの観客という計算で収容人数を計算することになると、入場できる人数も極めて少なくなるため、ライブハウスやアーティスト側への補償がなければチケット代の高騰が予想されます。
クラブのように歌手よりもDJがメインの演奏者となるケースでは演奏者と観客の距離はそこまで問題にならないことも考えられますが、いずれにせよ観客の数はこれまでのキャパシティよりも大きく制限されることになります。
これにより、カフェやバーなどでの着席形式でのライブが増加する可能性も指摘されていますが、パンクやハードコア、レゲエやヒップホップといった暴れたり踊ったりが前提の音楽ジャンルにとっては厳しい状況となります。
一方で、緊急事態宣言中にはオンラインの音楽イベントがあちこちで開催されており、その中にはライブハウスやクラブを会場として配信されているものも多々ありました。
これらを応用する形で、現場に少数の観客を入れた上で有料配信を行うといった新たなイベントのあり方も模索されています。
家からもライブを聴けるけれど、現場に行って生の演奏を体験するのは贅沢でレアな体験となる。それが「新しい日常」での私たちと音楽の付き合い方になるのかもしれません。
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