携帯各社が時折行っていた不人気、型落ちスマホの投げ売り。
「Huawei P30 Pro」「Xperia 1」「AQUOS zero2」などの有名メーカー製スマホが破格で買えるなどして一部で話題となっていましたが、健全な競争を掲げてスマホ本体の割引を徹底して規制してきた総務省が、さらに締め付けを厳しくします。詳細は以下から。
◆スマホを捨て値で売れなくなる総務省のガイドライン改正
まず見てもらいたいのが、総務省が9月11日(金)までパブリックコメントを受け付けている「電気通信事業法第27条の3等の運用に関するガイドライン」の改正案。
「不当な価格設定への対処」という項目にあった「なお、会計上減損処理をした端末については、減損処理後の残存価値を元に調達価格を算定することができる。当該算定を行うに当たっては、当該算定を行うこと、当該算定の内容及び当該算定の対象となる端末の台数を客観的に示すことができる関係書類を総務省に提出することを要する」という文章が丸ごと削除されてます。
Buzzap!編集部で総務省に確認してみたところ、これは「従来であれば10万円の価値があるスマホを携帯電話会社が『2万円の価値しかない』と減損処理すれば2万円で売ることができたのが、ガイドライン改正後はできなくなる」という意味。
つまり、「型落ち」や「不人気」を理由にスマホを捨て値で在庫処分できなくなるわけです。
総務省によると今後そのような値下げができるのは「他社に帰すべき外的要因」がある時だけ。しかしこれは製品自体の不具合などを指しており、時間経過による端末の経済的価値低下(=型落ち)や販売実績が当初の見込みを下回った場合(=不人気)は含まれません。
◆Androidが圧倒的に不利、iPhoneが有利になる側面も
そしてもう一つ確認しておきたいのが、総務省が別途定めるスマホ値引きの上限。
メーカーが製造を続けている機種であれば、最終調達日から24ヶ月間が経過すれば半額で売ることができ、製造を終えた機種であれば最終調達日から12ヶ月間が経過すれば半額、24ヶ月が経過すると8割引で売ることができます。
これは2016年発売のiPhone 7が今なお現役でワイモバイルやUQ mobileから販売されるなど、製品のライフサイクルが長いiPhoneに有利に働き、ライフサイクルが比較的短いAndroidスマホに不利に働くとみられます。
「型落ち」「不人気」を理由に捨て値で処分できなくなるため、携帯電話会社がより一層「売れるスマホ」しか調達しなくなることも懸念される総務省のガイドライン改正。auが提示してきたようなデザイン性に富んだ機種や、ユニークな試みを取り入れた機種などの開発をさらに難しくする内容です。
ちなみに総務省に確認したところ、これらの規制はあくまで「携帯電話会社が取り扱うスマホ」に対するもので、メーカー各社がSIMフリーで販売するものについては対象外とのこと。
つまり日本人の使いやすさを主眼に開発している一方「キャリア頼み」の部分が大きいAQUOSやXperiaに不利に働き、競争力が強くSIMフリーでも展開できるAppleやXiaomi、OPPOをはじめとしたグローバルメーカーが有利になるという、構造的な問題を抱えています。
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