カラスが霊長類と同様の高レベルの「意識」を持っていることが判明、主観的経験を参照した行動が可能



脳と意識との関連性が覆される可能性もありそうです。詳細は以下から。

カラスは頭がいいという話は多くの人が実感したことがあるはず。ゴミ捨て場を荒らしながら人に怯えず、絶対に間合いには入らせないくせに弱そうな女性や子供を威嚇するふてぶてしさに頭に来た人は少なくないでしょう。

これまでの研究から、カラスは6歳児並みの知能を持ち道具を使え3手先まで考えることができて社会的行動をとれる生き物だと言われてきました。

そんなカラスに、チンパンジーやゴリラなどの霊長類に匹敵する霊長類にしかないと思われていたレベルの意識を獲得していることを示す研究結果がジャーナルScienceに掲載されました。


エバーハルト・カール大学テュービンゲンの研究血0ムはカラスの振る舞いと脳の活動を同時に記録することにより、カラスが意識的知覚を持つことが可能であることを示しました。

実験のため研究チームは2羽のハシボソガラスにスクリーンに映される異なった色の印に反応して頭を動かすよう訓練を行いました。その際、研究チームはそれぞれのカラスの神経細胞の活動を脳に取り付けた電極を用いて観測。

スクリーンに映される印はあるものは鮮やかで見やすくカラスも反応しましたが、あるものは認識できないほど薄く見にくいものでした。薄い色の場合、カラスが色を見た反応を示すこともありましたが、何も見なかったような反応の場合もありました。

そうした際の脳の活動を調べたところ、カラスの脳の神経細胞は、色という刺激からの感覚入力を意識的に知覚した主観的経験に影響されていることが示されました。

これは単に色の明るさに本能的に反応しているのではなく、自身の内的な評価に反応したといえるもの。研究を主導したAndreas Nieder教授は以下のように指摘しています。

神経細胞が主観的な構成要素なしに視覚刺激に反応したのであれば、それは同じ強さの視覚刺激への反応と同様になるはずだ。

しかし結果では、カラスの脳の神経細胞はより高次のプロセスレベルを示しており、主観的経験の影響を受けている。むしろ、より正確には主観的経験を作り出している。

意識とは何かというと哲学の領域になりますが、この場合では単なる外界への反応ではなく、外界の出来事と内面の経験の両面を参照して反応できることということができます。


つまりカラスは「スクリーンに色が表示されるはず」という主観的な経験を少なからず持ったうえで反応していたということになります。

なお、極めて興味深いのは、人類や霊長類をはじめとした動物の意識的な経験は大脳皮質が司っていると考えられてきました。ですが、鳥類には大脳皮質が存在していません。

今回の発見は意識についてのこれまでの仮説をひっくり返すものであり、意識の起源がより古く、そしてより多くの生き物の中に存在していることを示すことになるかもしれません。

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