思い出すのはその香水のせい？「匂い」が鮮やかに狂おしく記憶を呼び戻す理由

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「君のドルチェ＆ガッバーナのその香水のせいだよ」

そうして彼は君との3年前の日々を思い出したわけですが、なぜこんなにも「匂い」は人の記憶を強く呼び戻し、心をかき乱してしまうのでしょうか。詳細は以下から。

米イリノイ州のノースウェスタン大学の研究チームがジャーナル「Progress in Neurobiology」に発表された新研究で、匂いと人間の記憶の強い繫がりを解き明かしています。

研究では脳の一次感覚野での映像や音、手触りや匂いを、感情や記憶の構成に関わる海馬に接続する神経ネットワークに注目。その中で、海馬が嗅覚神経系と特に強い繫がりを持っていることを発見しました。

研究チームは嗅覚神経系と海馬の太い接続によって、匂いが人に強い感情的な反応を引き起こすと考えます。そしてこれは人類の進化の中で脳が神経ネットワークを再接続したことによるとしています。

研究を主導したChristina Zelano助教は「視覚、聴覚、触覚は大脳新皮質の拡大と共に連合野を媒介に海馬に再配線されました。しかし嗅覚だけは直接海馬との接続が維持されたままになったのです」と指摘。

こうして匂いは記憶や感情と特に強く結びつき、クオリティオブライフにも直結する存在になったとのこと。先行研究では匂いの喪失とうつ病との関連性も指摘されています。

新型コロナでは多くの感染者が嗅覚異常を訴えることは広く知られていますが、これはただ「匂いが分からない」だけの話ではなく、記憶や感情という重要な精神活動に深く関わる問題ということになります。