NTTによる総務省の接待とドコモ子会社化の関連は?KDDIやソフトバンクがNTT再編見直しや真相究明を求める意見書



菅総理大臣が進める携帯電話料金値下げに応えるべく、今までの流れと逆行する形でNTTドコモの完全子会社化が進められたさなか、監督官庁である総務省の大臣、副大臣、官僚どころか政務三役を退任した政治家までも接待していたことが発覚したNTT。

もはや30年以上にわたるNTT民営化の流れに大きな汚点を付けかねない疑獄事件となりかねない現状ですが、KDDIやソフトバンクなど通信各社が真相究明を求める意見書を提出しました。詳細は以下から。

まず見てもらいたいのがKDDIやソフトバンクのプレスリリースに掲載された、21社が意見書を提出することになった背景。

2020年9月29日にNTTがドコモの完全子会社化を目的に株式公開買付けの開始を公表しましたが、そもそもこれは政府措置の「完全民営化」の方針に逆行するものでした。

しかし監督官庁である総務省は株式買い付け期限(2020年11月16日)まで特段の措置を講じることはなく、公正競争を確保するための検討会議が開かれたのは翌年2021年3月5日のこと。

しかもその後NTTによる総務大臣などの接待問題が明らかになったため、通信各社は公正競争を確保するための検討会議について、「(接待問題で)行政がゆがめられたのではないか」という検証も踏まえた検討が必要だと訴えています。

なお、通信各社が求めたのは以下の内容。ドコモ完全子会社化の真相究明、NTTドコモによるNTTコミュニケーションズやNTTコムウェアの再編が一方的に進められることのないよう見直すことなどが挙げられています。

1. 「公正競争確保の在り方に関する検討会議」が、日本電信電話株式会社(以下、「NTT持株」という。)による2020年9月29日付けの株式会社NTTドコモ(以下、「NTTドコモ」という。)に対する株式公開買付け手続きに端を発していること、及び当該事案と今般のNTT持株と総務省の関係において判明した事案等により、情報通信行政が歪められたのではないかとの疑念が国民に生じている状況を踏まえ、NTTドコモの完全子会社化に係る一連の行政対応が歪められていなかったか、「情報通信行政検証委員会」による徹底した真相究明を行うこと。
2. 「情報通信行政検証委員会」の検証結果を踏まえ、「公正競争確保の在り方に関する検討会議」の報告書の措置内容が十分なのか、さらに強化すべき措置内容がないのか等、改めて議論を行い、当該議論の結果を報告書に反映すること。それが完了するまでの間、NTTドコモによるエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社及びエヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社の子会社化といった、NTTドコモの完全子会社化を踏まえた一連の統合・再編成等について一方的に進
めることのないよう、総務省がNTT持株等を指導・徹底すること。
3. NTT持株等と総務省の関係において判明した事案等により“行政の公正性”に疑義が生じたことを踏まえ、今後の検討及び検証においては、NTTグループの在り方を含めて必要な検討の推進を図ること。


なお、以前Buzzap!でもお伝えした通り、NTTによるドコモ完全子会社化はかなりのウルトラC。それはNTTが国内で唯一、過疎地、山間部などを含めた日本全国津々浦々をカバーする光ファイバー網を構築できた会社だからです。

光ファイバー設備で75.2%のシェアを誇るNTT東西。電電公社から継承した電柱、管路などのほか、全ての市町村に約7200の局舎を保有しており、対抗できる設備を民間資本で整備するのは不可能です。


光ファイバーの優位性が年々高まる中、NTTがドコモを完全子会社にしたことは非常に大きな意味を持ちます。


ドコモがどれだけ料金値下げで身を削っても、KDDIやソフトバンクから光ファイバー使用料が入るからNTTグループ全体ではオッケー」という理屈で他社を圧倒できる今のNTT。

他社では採算が取れない格安新プランで攻勢を仕掛ければNTTが一人勝ちできるため、完全子会社化にあたっては監督官庁による厳密な審査があってもおかしくないのですが、どうして何のブレーキも関わらず認められてしまったのでしょうか。

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