8000体のだるまと往年の映画スターが祀られる京都の「だるま寺」を訪れました



数えきれないほどの寺社仏閣を抱える京都。有名ではなくともユニークなところ、落ち着けるところがひっそりと存在しているのです。

今回訪れた「だるま寺」もそんな隠れた名所のひとつでした。

京都市の西側を南北に伸びる西大路通り。JR円町駅からほど近い天神川のほとりに「だるま寺」として知られる臨済宗妙心寺派の法輪寺があります。天神さんとして親しまれる北野天満宮からも徒歩10分ほどの距離。


だるま寺は江戸時代に創立された、京都としては比較的新しいお寺で、その名のとおり心願成就を祈って奉納された8000体あまりのだるまが祀られています。



足を踏み入れてみると、境内のあちこちに達磨大師の像が。



絵馬もかわいらしいだるまさんです。


こちらがだるま8000体の祀られる起き上がり達磨堂。遠くからも圧倒的な存在感でお出迎えしてくれます。


中に入るとこのとおり。お札はもちろん不吉なものではなく「願い札」とのこと。ちょっとずつ顔立ちの違うだるまさんがずらりと並んでいて壮観のひとことです。


棚にも所狭しとだるまさんです。こんなにいろいろなタイプがあったのかとびっくり。


見上げると巨大なだるまの絵が。ここに書かれている「不識」は達磨大師と梁の武帝の有名な問答の中の言葉です。いわゆる禅問答のオリジナルですね。


さて、ここから拝観料(大人300円)を支払って衆聖堂と本堂を巡ります。


衆聖堂の1階には十六羅漢像に加え、こちらもたくさんのだるまさんが鎮座しています。だるま提灯のゆるい顔がたまりません。




天井にはまたひと味違っただるまの絵が。


2階には映画創業以来の関係者らの霊を祀る貴寧磨(キネマ)殿があります。


ずらりと並ぶ位牌を見ると美空ひばり、石原裕次郎、渥美清、森繫久彌、森光子、小津安二郎、高倉健といった、日本映画史そのものと言えそうなほどのそうそうたる名前が。



本堂に向かうと禅の悟りの境地を示す「無尽庭」に出ます。街中とは思えないゆったりとしたお庭です。枯山水を思い浮かべがちな京都の庭園ですが、瑞々しい色彩が新鮮です。


時間があればひとしきり座って、達磨大師に思いをはせてみてはいかがでしょうか。


達磨大師は「面壁九年」として知られる、壁に向かって9年間座禅を組み、手足をなくして尻も腐るほどのすさまじい修行の中で悟りを開き、禅宗の祖となりました。だるまさんのあの姿はこの悟りを開いた達磨大師を描いたものです。

近年有名になった中国のSF小説「三体II 黒暗森林」の「面壁者」は、このエピソードが大元のネタですね。


さて、このだるま寺にはあちこちにだるまの意匠が隠れています。拝観する時にぜひ探してみてください。




帰り際に見つけた「転んでも又起き上がればいいのだ!!」というありがたいお言葉。じっくり噛み締めました。


なおこのだるま寺、普段は静かですが節分の際には大賑わいになるとのこと。じっくり時間を過ごすもよし、だるまさんに溺れるほどの賑わいを味わうもよしです。

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