TikTok運営会社の動画編集アプリ「CapCut」利用規約がエグすぎて話題に、アップ動画の権利放棄求められフリー素材状態に


利用前にどんな情報を収集されるのか、どんな権利を放棄することになるのか、しっかり確認した方がよさそうです。詳細は以下から。

アメリカ合衆国でトランプ大統領が一時使用を禁止した「TikTok」運営会社のByteDanceが提供する動画編集アプリ、「CapCut」の利用規約が非常に危険なものとなっています。TikTok禁止は政治的な背景も取りざたされましたが、こちらはかなり深刻な内容に。

このアプリはステッカーやエフェクト、フィルターといったこれまでの動画編集ソフトを超え、静止画を3D風に奥行きを持たせながら動かす加工なども可能。

実際に加工を施しているプロも。ワンクリックでこれができるのは確かに驚きです。

◆作品への権利放棄、他のユーザーが使い放題…利用規約がエグイことに
ですがここで問題になっているのが利用規約プライバシーポリシーです。まず利用規約を見てみると、「ユーザー作成コンテンツ」については知的財産権を所有するとしながらも、

既知であるか今後発明されるかを問わず、あらゆる形式およびあらゆる本プラットフォームでお客様のユーザーコンテンツを使用、修正、適合、複製、その派生物の作成、発行および/もしくは送信、および/または配布する、ならびに本サービスの他のユーザーおよびその他の第三者にお客様のユーザーコンテンツの閲覧、アクセス、使用、ダウンロード、修正、適合、複製、その派生物の作成、発行および/または送信を許可する無条件、取消可能、非独占的、ロイヤリティ無料、完全譲渡可(再許諾可能であることを含みます。)、無期限かつ世界中で通じるライセンスを当社および当社の関連会社、代理人、サービスプロバイダー、パートナー、ならびにその他の関係する第三者に付与

サービス規約より引用)
と、運営会社ら関係者がユーザーのアップした動画を無料で勝手に、修正を加えて利用したり派生物を作って配布すること、また自分以外のCapCutユーザーや第三者が修正や二次利用を含めて使うことを無期限かつ全世界で認めることを求められます。

加えて、自分以外のCapCutユーザーは娯楽や非営利目的であれば自分以外のユーザーが自分のアップした動画を無料で修正、二次創作などの改変を施し、好きに配布、送信しよいとのこと。まさにフリー素材状態です。

さらにユーザー名や画像、肖像なども無料で運営会社ら関係者が使用可能に。著作権の発生する音楽についても同様です。

「ユーザーコンテンツの権利の放棄」では、自分の動画が「マーケティングまたは販促資料の事前審査や承認の権利を放棄」させられた上に、「一切のプライバシー権、パブリシティ権その他類似の性質の権利を放棄」することを求められます。つまり誰が、何が映っていようが商用利用しても文句を言わないことを求めるもの。

またアップした動画への人格権を主張せず、法的措置を行わないとの同意も要求。著作人格権は法律上放棄できませんが、その主張や法的措置をあらかじめ封じる形に。

そして自分の作品が勝手にアップされるなど、著作権が侵害された場合の手続きもかなり危険でハードルの高いものに。

まず訴える側の「実際の住所および電話番号」が求められ、これは連絡のため著作権侵害者側にも明かされることが明記されています。

加えて自身の著作権を明瞭かつ完全に説明する必要があり、許可していない旨も証明しなくてはなりません。これが故意に誤解を招いたり不正だとされると「偽証罪に問われる」「損害賠償の責任が問われる」とされます。

SNSに上がっている好きな絵師さんの作品を勝手に加工してみた…といったケースが考えられますが、削除を求める際に著作権者側が大きな労力を払うことになります。

◆収集されるスマホ情報もてんこ盛りに
プライバシーポリシーでの情報収集もかなりのものです。収集される情報は以下のとおり。
・IPアドレス
・デバイス固有の識別子
・ネットワークの種類と接続状況
・スマホやPCなどの使用機器のモデル
・使用機器のメーカー
・スマホのエリア
・アプリのバージョン
・OSの情報
・本アプリの操作や動作に関する情報
・CPUとGPUの情報
・デバイスの解像度
・システムの言語と地域
・映像編集などのサービス利用に関する行動の情報


Privacy Policyより引用、拙訳)
自分が使っているスマホやタブレットの情報、居住エリアなどがアカウント情報と共に収集されることになります。

そして、これらの情報をByteDanceのグループのメンバーらと共有するとしていますが、共有先の具体的な会社名などは明記されていません

◆便利ではあるものの、アップする内容には要注意
自分のアップした動画への著作権をはじめとする権利を丸裸にされ、運営会社ら関係者に加えて他のユーザーも使い放題のフリー素材状態になって人格権も抑え込まれる利用規約。

さらにプライバシーポリシーではIPアドレスから使用機器の詳細情報なども収集された上に、運営会社の詳細不明なグループ内で共有されるというなかなかに怖い状況となっています。

自分のイラストなどの作品や身近な人の顔をアップする前に、もう一度問題がないかしっかり確認した方がよさそうです。

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