年間120万人が携帯電話を解約、「純減」よりも深刻なNTTドコモの実情をまとめてみた


2013年夏モデルとして「ドコモのツートップ」を大々的に発売した翌月に純減を記録するなど、苦戦が続いているNTTドコモですが、実は純増数以上に深刻なのが「携帯電話ユーザーがどんどん減り続けている」という点。

なんと年間120万人というペースで減り続けており、その実情をまとめてみました。



◆過去1年間で純増120万、伸び続けるNTTドコモの契約数
BUZZAP編集部でTCA(一般社団法人 電気通信事業者協会)公式ページで公開されている、事業者別契約数をベースにNTTドコモの過去1年間(2012年7月~2013年6月)の契約者数増減を計算してみたところ、3度純減した月があったものの、同社はトータルで122万7500の純増を記録しています。

・2013年
6月(-5900)、5月(9万1800)、4月(1300)、3月(41万7400)、2月(14万3400)、1月(-1万2900)
・2012年
12月(23万5100)、11月(-4万800)、10月(7200)、9月(15万8600)、8月(8万1200)、7月(15万1100)

つまりNTTドコモは純減を記録した月があるとはいえ、契約数自体は伸びているわけです。

◆しかし「携帯電話」ユーザーは年間120万人のペースで減少
上記のデータだけ見ればそこまで苦戦していないのではないか……と思われるわけですが、問題なのはiモードやspモードといった「携帯電話」からインターネットに接続する「携帯IP接続サービス」の契約数。

これはフィーチャーフォン(ガラケー)やスマートフォンといった携帯電話ユーザー自体の増減を示すものですが、ほぼ毎月のように減少が続き、過去1年間で119万5300契約のマイナスに。

・2013年
6月(-15万800)、5月(-11万6500)、4月(-9万5100)、3月(7万6700)、2月(-4万9500)、1月(-15万7000)
・2012年
12月(-10万5000)、11月(-22万2500)、10月(-21万4800)、9月(-9万9600)、8月(-2万9800)、7月(-3万1400)

◆いったい何が穴を埋めているのか
つまりNTTドコモは年間120万の契約数を増やしている一方で、年間120万の「携帯電話」ユーザーを失っており、トータルで240万契約にもおよぶその差は「携帯電話以外のもの」で埋められていることになるわけですが、いったい何が穴埋めをしているのかを考えてみました。

・キッズケータイ
まず最初に挙げられるものが「キッズケータイ」のようなiモード非対応端末。スマートフォンなどとのセット販売が行われているものの、契約してもIP接続サービスの契約数は伸びません。

・フォトフレームなどの通信モジュール
通信機能付きフォトフレームや自動販売機の在庫・売上管理、ガスや水道のメーターなどに採用されている「通信モジュール」は過去1年間で66万4300の純増を記録。実にNTTドコモの年間純増数(122万7500)の半分は通信モジュールで占められているわけです。

・MVNOへの回線提供
そして最後に挙げられるのが「ワンコインSIM」「980円SIM」などに代表される、ドコモ回線を利用したMVNO(仮想移動体通信事業者)による通信サービス。NTTドコモはMVNOでの純増を関東甲信越地方として一括カウントしていますが、同地方では1年間に114万7200契約の純増を記録しています。

iPhone 5登場で他社への流出が相次ぎ、過去最悪の純減を記録した2012年11月度。各地域が純減する中、関東甲信越地方のみが純増している点に注目。

ちなみに関西地方の過去1年間の純増数はマイナス6万2600で東海地方はプラス1万9100。他の三大都市圏が非常に厳しい数字であることを考えると、関東甲信越の異様とも言える伸びはMVNOへの回線提供によるものと容易に想像できます。

◆純粋な「携帯電話」ユーザーの減少は危険
このように携帯電話ユーザーが毎月10万人のペースで減る一方で、iモードやspモード非対応端末や通信モジュール、MVNOへの回線提供が契約数を稼ぐ形となっているNTTドコモ。

トータルの契約数自体は増加しているため、表向きは問題無いように思われますが、月数千円の定額パケット通信や音声通話を利用してくれる、携帯電話会社にとって「うまみのある」携帯電話ユーザーが減り、代わりに単価の低いサービスの契約が増えている現状は、決して楽観できる話ではありません。

また、NTTドコモは各種通信サービスに加え、「dマーケット」のようなコンテンツ配信サービスなどで収益を拡大することを目指していますが、携帯電話ユーザー自体が減ってしまっては、その目論見自体も台無しになりかねないため、現状を打破する「次の一手」が待たれます。


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