1200年を超える歴史を持ち、魔都と呼ばれる京都。その京都の中でも一際恐れられている心霊スポット深泥池(みぞろがいけ)を訪れてみました。
京都はその歴史の中で多くの戦乱や災害をくぐり抜けて現在に至っています。その中では応仁の乱や幕末の混乱などで多くの死者を出していますし、処刑されて鴨川の河原にさらされた人も数えきれません。
古くは源氏物語の六条御息所の生霊や安倍晴明の式神、一条通の百鬼夜行など、魑魅魍魎の類の話にも事欠きません。
そんな中で、比較的新しい心霊話といえば有名な「幽霊タクシー」。京都市内で女性を乗せたタクシーが行き先を尋ねると深泥池と答え、到着すると女性はおらず、座席がぐっしょりと濡れていたというお話。
東京の青山墓地が行き先のパターンを始め、全国にこの話のバリエーションは広がっていますが、その発祥の地と言われているのがこの深泥池です。京都市内のタクシーは深泥池行きのお客は断っても乗車拒否扱いにならないという都市伝説までまことしやかに囁かれているほど。
さて、やって来ました。京都駅から地下鉄烏丸線に乗って北山で下車。このエリアはかつては京都屈指のおしゃれエリアとして名を馳せていました。現在は比較的静かですが、ウェディング施設が立ち並び北山ウェディングストリートとして知られるようになっています。ここから鞍馬街道を北上するとすぐに静かな住宅地に。
公園などもあり、閑静な雰囲気。
そして山際に突然現れる深泥池。湖や池というよりはその静けさや淀んだ雰囲気からはむしろ沼。
有名な話ですが、ここは氷河期時代の生態系が今も残っている貴重な池で、すべての動植物が天然記念物に指定されて保護されています。そのため釣りなども禁止されており、大きな開発もされずに残されています。
あまり見慣れないトンボも見かけました。
池の中に木や草が生えている陸地のような部分がありますが、ここは浮島になっていて、冬になると大部分が冠水してしまいます。
車道側を歩くとこんな感じ。山を超えた先には住宅地である岩倉があるため、交通量は結構なもの。
奥に進むと池沿いに病院があります。怪談によっては「戦後この場所にあった病院で、結核で隔離された患者の死体を深泥池にこっそり捨てたため、池の底には今も大量の…」というありがちな尾ひれが付けられています。
池の反対側、住宅地の角から遊歩道を歩いてみます。爽やかさとは縁遠い、鬱蒼とした林と沼っぽさを湛えた静かな水面。時折鯉のような魚が動いているのが見えます。
道は途中で獣道のようになり、時折途切れているかと思うほど不明瞭に。それでも進んでみます。しかし夜に肝試しで歩くには道が悪すぎます。
陸地に見えますが、手前の低木の生えているところまでは浮島です。
奥に進むと水が湧いていると思われる場所がありましたが、完全に柵で囲われています。
対岸を走る車の音が時折聞こえますが、とても静か。倒木などもあり、人がほとんど訪れていないのがよく分かります。
気がつくと病院の近くまで来ていました。ここからの立ち入りは禁止です。
この先はすぐに獣道のようになり、急坂でそれもなくなり、進めなくなりました。山を超えれば住宅地なのは分かっているのですがここで断念。
昼間の訪問でしたが、噂が出るのが分かる程度には静かな場所でした。特に遊歩道は夜歩くのはおすすめできません。不気味というよりも道が悪くて危険。民家も多く、病院もあるため無茶な肝試しで大騒ぎは大迷惑になりそうです。もちろん大切な生態系でもあるので、ゆっくり見守るのがよいのかもしれません。
京都には天狗も鬼も妖怪も山ほど噂はありますゆえ。
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