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しっかりとした睡眠を取ることで、起きている間に蓄積された脳内の有害な副産物が排出されることが最新の研究で明らかになりました。なぜ人間に睡眠が必要かを解き明かす大きなヒントになるとともに、アルツハイマー予防に画期的な一歩が開ける可能性もあります。
人間は人生の3分の1を眠って過ごします。何世紀もの間、睡眠の役割については多くの議論がなされ、体力の回復や記憶の整理などの説が出されてきていました。エジソンは睡眠を「嘆かわしい時間の浪費(a criminal waste of time)」と呼ぶなど、睡眠の価値についても多くの意見が出されていましたが、実は脳の健康を保つ上で非常に重要な役割があることが分かりました。
ロチェスター大学のMaiken Nedergaard博士らのこの度の研究によると、睡眠時には覚醒時に脳の神経活動の副産物として生成された有害な物質が排出されます。これらの有害物質は適切に排出されずに蓄積されるとアルツハイマー症などの原因ともなり得るもの。
この脳内の有害物質を排出する過程は非常にエネルギー集約的であり、覚醒時に行われると正常な思考を妨げるほどのものとのこと。そこで睡眠が必須になってくるというわけです。Nedergaard博士の指摘によると
「この研究によって脳には覚醒時と睡眠時で別の機能があることが分かりました。睡眠による回復効果は覚醒時に蓄積された有害な副産物が有効に排除される結果なのです」
とのこと。また、研究チームによると脳は体の他の部分が毒素排出に用いるリンパ系とは別の排出システムを有しています。
マウスを使った実験では脳が睡眠時に使うエネルギーは覚醒時と比べてもあまり減少しません。それは睡眠時には有害物質の排出が10倍程度活発に行われているためで、より高次の毒素類の排出も行われているとのこと。
この際に脳で使われるエネルギーは非常に多く、覚醒時にこのプロセスが進行すると明確に思考することもできなくなるほどのものだと研究チームは推定しています。
「この仕組みは自分の家でパーティをすることを思い浮かべてみるといいでしょう。あなたはお客さんをもてなしたり部屋を片付けたりするでしょうけれど、そのふたつを同時に行うことはできません」
さらに睡眠時、有害物質の排出が行われる際には脳細胞が60%の大きさにまで縮小し、効果的に排出が行われていることも判明。ノルアドレナリンと呼ばれるホルモンが睡眠時には減少することから、このホルモンが睡眠と覚醒のサイクルの中で脳細胞の拡張と収縮をコントロールしていると考えられるとのことです。
「これらの発見はアルツハイマー症を始めとする神経性疾患の治療に対して非常に密接な関わりがあります。いつどのように脳が有害物質排出システムを働かせて毒素類を輩出するかを理解することは、このシステムを調整し、有効に働かせるための決定的な第一歩と言えるでしょう」
これまで漠然と大切だと思ってきた睡眠。実は無駄どころか覚醒時に溜まった毒素を排出して回復し、長期的にはアルツハイマー症を含む神経性疾患を予防するための非常に大切な時間であることが分かりました。
自らの睡眠サイクルを見直し、健康のために胸を張ってしっかり眠る生活習慣を作るきっかけにしてはいかがでしょうか。
A good night's sleep really does clear the mind Scientists find the brain flushes itself of toxic waste while you are asleep Mail Online
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