「明治天皇の玄孫(やしゃご)」 をウリに活動するタレントの竹田恒泰が夫婦別姓問題でトンデモツイートを行い、突っ込まれまくっています。詳細は以下から。
旧皇族の竹田家に生まれたことから「明治天皇の玄孫(やしゃご)」という血筋の良さを売り物にするタレントの竹田恒泰。
普段からテレビやツイッター上でのトンデモ発言が取り上げられていましたが、先日最高裁大法廷が夫婦同姓を定めた民法規定を合憲とした判決を出したことに絡み、夫婦別姓問題について無知であることを積極的にさらけ出しています。
その中で最も話題となっているのは以下のツイート。
「初めて夫の姓で呼ばれ、『私は結婚したのか』と思い、頬を赤らめる」
こういうのが幸せな結婚というのだと思う。夫の姓を名乗りたくないと言っている人に限って不幸せに見えるのは気のせいだろうか。
— 竹田恒泰 (@takenoma) 2015, 12月 17
中二病男子の妄想かと思えるような内容には大量の「お前の気のせい」というリプライが付けられているのと同時に、「婿養子は幸せでないということなのか?」「お前がウリにしてる皇族はそもそも姓がないんだが不幸なのか?」というツッコミが相次いでいます。
さらに選択的夫婦別姓制度が認められた場合の問題点を列挙。
夫婦別姓の問題点は①婚外子が増える、②表札があげられなくなる、③墓が守られなくなる、そしてひいては、④日本の伝統的家族制度が崩壊することにつながる。
— 竹田恒泰 (@takenoma) 2015, 12月 17
1については「法律婚と事実婚の差が小さくなって確実に事実婚が増える」という単なる憶測を断定口調で主張。その結果婚外子が増加するとしています。
日本における婚外子は2%程度だが、事実婚が多い国ほど婚外子が多い傾向がある。例えば、よく手本とされるスウェーデンでは婚外子は55%。夫婦別姓となれば法律婚と事実婚の差が小さくなって、確実に事実婚が増える。そうすれば日本もスウェーデン同様、婚外子が増加する。
— 竹田恒泰 (@takenoma) 2015, 12月 17
この理路はまったく支離滅裂で、何らフォローもされていないため、どういった理由で法律婚と事実婚の差が小さくなると事実婚が増えるのかは不明なまま。また、婚外子を問題視していますが、大正天皇に関して以下の様な事実が示されています。
大正天皇の生母は昭憲皇太后ではなく明治天皇の典侍であった柳原愛子。つまり大正天皇は婚外子なのですが。
@takenoma https://t.co/2BZ0BIu3Qg
— 玉蟲 (@TAMA6SI) 2015, 12月 18
2については国民的アニメのサザエさんを引き合いに出してみせますが、こちらも盛大に失敗しています。
もし選択的夫婦別姓になったら、サザエさんの場合、たとえばこうなる。「磯野波平、石田フネ、石田カツオ、磯野サザエ、フグ田マスオ、フグ田タラオ、磯野ワカメ」。本来、表札は「磯野」で済んだところ、これでは表札を掲げることができない。
— 竹田恒泰 (@takenoma) 2015, 12月 17
少し住宅街を歩けば分かりそうなものですが、二世帯住宅などで複数の表札が掲げられている家は日本全国どこにでもあります。また、そもそもサザエさんの家は磯野家とフグ田家が同居している形であるため、本当は表札は「磯野」だけでは足りません。もしかすると竹田氏はマスオさんを婿養子だとでも勘違いしているのでしょうか……?
3の墓を守る話については既に問題化していますが、夫婦別姓をここに絡めるのはまったくもって悪手と言わざるを得ません。
通常、父の実家と母の実家の墓に参る人が多い。他方、父の母の父の墓や、母の父の母の墓を参る人は少ない。もし夫婦別姓となったら、父の実家や、母の実家という概念が薄らぐため、三世代下れば、墓を守る人がいなくなる確率が高くなる。四世代下れば、ほとんどの墓は放置されることになるだろう。
— 竹田恒泰 (@takenoma) 2015, 12月 17
この問題は核家族化や少子化、そして人口移動に伴う都市部への集中と地方の過疎化など、多くの問題が複合的に発生した結果として起こるもの。概念の問題で済ませられるものではありません。
@takenoma 他の方々もツッコミ入れてますが、
それ、夫婦別姓とは全く関係ないですよね。
お墓の継承が難しくなっているのは、核家族化と少子化が進んでいるためです。まさか、竹田さんともあろう方がそんな事を知らない…なんて事はありませんよね?
— 順 (@TAKEjun13) 2015, 12月 17
また、竹田氏の論法で言うと、今の夫婦同姓で夫の姓を名乗るようになった場合、母方の祖父母の墓を守らなくなる確率が高くなり、娘しか生まれなかった家庭の墓は早晩放置されることになりますが、それは問題ないのでしょうか?
最後に4については、中央大学文学部の山田昌弘教授の説明と並列させたこちらのツッコミが秀逸です。
ここで、山田昌弘先生と竹田恒泰さんの意見を比較してみましょう。 pic.twitter.com/ZY1Sl97CKQ
— MATSUTANI Soichiro (@TRiCKPuSH) 2015, 12月 17
確かに源頼朝の妻は北条政子であり、源政子ではありません。そして夫婦同姓制が導入されたのは明治31年(1898年)のことで、まだ120年の歴史すらありません。
いまだに夫婦同姓が日本の伝統だと信じている人は、法務省サイトにある簡単な年表を見ると良い。①平民に名字が許されたのが明治3年。②結婚しても妻は実家の名字を使用するよう定められたのが明治9年(夫婦別姓制)。③夫婦同姓制は明治31年。
https://t.co/6LS6VevhV9
— ナンノツモリダー!"!(南野 森) (@sspmi) 2015, 12月 17
そうした夫婦同姓制をあたかも日本古来の伝統であるかのように語り、後生大事に守ろうとする論調は、残念ながらあまりにも無知であるとしか言いようがありません。より「伝統的」なのは夫婦別姓であり、それよりもさらに伝統に忠実であることを求めるならば、平民はもはや苗字を持てなくなります。
同性パートナー制度ができた時も、衆道という日本古来の伝統を知らずに同性愛は日本の価値観を否定するなどとトンチンカンなことを述べた練馬区議がいましたが、日本の伝統と口にするのであれば、まずは本当の日本の伝統がどのようなものだったのか、高校生レベルの知識からしっかり勉強してほしいものです。
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