【動画】旧ソ連の音楽家が1930年代に「シンセサイザー」で作成した電子音楽


クラフトワークよりもずっと前に、旧ソ連では電子音楽が誕生していました。詳細は以下から。

電子音楽の始祖とも呼ばれるドイツのクラフトワークが初期の代表作「アウトバーン」を発表したのが1974年のこと。しかしそれより40年も前にソビエト連邦では「シンセサイザー」を用いた電子音楽が作成されていました。

とはいえ、ソビエト連邦人のレフ・テルミンがかの有名な楽器「テルミン」を発明したのは1920年のこと。BUZZAP!ではテルミンが1931年に開発した世界初のリズムマシン「Rhythmicon」について掲載しましたが、こうした電子音楽の分野ではソ連がずいぶんと先んじていたことが分かります。

社会主義革命によって誕生したソ連では多くの芸術家がブルジョワ的反啓蒙主義者として糾弾された一方で、政治的統制の道具として社会主義リアリズムに彩られた映画、音楽、ダンス、絵画などが極めて前衛的な形で発展することとなりました。

そして電子音楽も「抽象的な音と実験的な手法」という文脈の中で発展することになります。1930年にArseny Avraamovがオシロスコープと磁気テープを自らの手で描いたり切り貼りして作成したのがこちらの作品。

1930s Russian Drawn Sound_ Arseny Avraamov's 'Ornamental Sound Animation' - YouTube


極めて短いものですが、映像と共に「シンセサイザー」による電子音が鳴り響いています。もちろんこれだけで終わるわけではなく、彼の作り上げた方法論は後の音楽作家に引き継がれていくことになります。こちらは1932年に作成されたEvgeny Sholpoの「Variophone」という作品。

1930s Russian Drawn Sound_ Evgeny Sholpo's 'Variophone' (1932) - YouTube


こちらではNikolai Voinovという作曲家の楽曲作成風景が見られます。後半ではラフマニノフのプレリュードのシンセサイザー版が見事なアニメーション付きで再現され、その後には「The Dance of the Ceow」というアニメーション映像が流されます。

1930s Russian Drawn Sound_ Nikolai Voinov's 'Paper Sound' - YouTube


現代から考えれば電子音楽の先史時代ということにもなるのでしょうか?第二次世界大戦前に前衛的で実験的な電子音楽が作られていたことに驚かされます。果たして今の時代の私たちは彼らほど音楽に対して前衛的でいられているのでしょうか?

Watch Soviet Avant-Garde Composers Create Synthesized Music with Hand-Drawn Animations (1934) _ Open Culture

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