音楽ファンからその傲慢さと強欲さを蛇蝎のごとく忌み嫌われてきた日本音楽著作権協会(JASRAC)にヤマハが全面対決を挑むことになりそうです。
以前BUZZAP!でもお伝えしたように、JASRACは音楽教室で1人または数人の生徒と教師が練習や指導のために楽曲を演奏することに対し、生徒も不特定の「公衆」にあたるとし、この演奏にも演奏権が及ぶと強弁。著作権料を年間受講料収入の2.5%とする案を検討しています。
これまでもJASRACはCD売り上げの減少を受け、徴収額を確保するためにカラオケやスナック、フィットネスクラブのBGMからカルチャーセンターの楽器講座からも音楽演奏からも著作権料を徴収してきました。幹部が「演奏権の対象の中で取りこぼしてきた最後の市場」と発言するなど、既に著作権保護という大目的が二の次になっていることを隠しもしません。
しかもJASRACから著作権者であるはずのアーティストへの還元が極めて不透明であることなどから、単なる金の亡者であるという批判は前世紀から続いています。
JASRACの今回の横暴に対してもヤマハや河合楽器製作所を中心とした音楽教室側は2月に「音楽教育を守る会」を結成、JASRACに対し「演奏権は及ばない」とする反論を各社が送付。使用料規定を出さないようJASRACに指導することを文化庁に要請し、賛同する署名も約3万人分集めていました。
次いで音楽教室大手のヤマハ音楽振興会は今年7月にも「教室での演奏には著作権は及ばない」とし、JASRACへの支払い義務がないことの確認を求める訴訟を東京地裁に起こす方針を固めました。今月30日の会合で訴訟の原告団に参加するよう約350の会員社に呼びかけ、複数社が参加を検討しているとのこと。
著作権法は、公衆に直接聞かせたり見せたりする目的で演奏する「演奏権」を、作曲家や作詞家が専有するとしていますが、音楽教育を守る会は「技芸の伝達が目的で聞かせることが目的でない」と主張。これによって金額の問題ではなく「教室での演奏には著作権は及ばない」と訴えます。
一方のJASRACは「人気曲を使い、魅力を生徒が味わっている以上、聞かせることが目的」などとどう考えても無理筋な反論しか出せていません。
ネット上ではヤマハ側への全面支持の反応が極めて多く、JASRACの横暴に歯止めを掛けて欲しいという意見も目立ちます。アーティスト側への還元も不透明な銭ゲバ集団という汚名を恥ともせず、体質改善の気配もないJASRACへの鉄槌は下るのでしょうか?
ヤマハ、JASRACを提訴へ 教室演奏の著作権めぐり:朝日新聞デジタル
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