既に日本でも大きな話題となっているオーストラリアの大規模な森林火災ですが、オーストラリアだけの問題に留まらない可能性が指摘されています。詳細は以下から。
これまでも繰り返し発生してきたオーストラリアの森林火災(Bush Fire)。ですが現在発生している森林火災の規模は過去にも例を見ないほど大規模なもので、野生動物への影響を含めて世界中で既に大きく報道されています。
ですがこの火災、地球に住む全人類にとって「対岸の火事」では済まない事態となる可能性があります。
火災によって排出されるのは膨大な二酸化炭素などの温室効果ガスだけではなく、エアロゾル、煤煙が発生します。火災発生から数ヶ月が経ち、排出されたこれらの煙はニュージーランドから南米大陸にまで到達しています。
こうした煙は地球の気温とも複雑に絡み合っており、ある種のエアロゾルは日光を遮って一時的に気温を低下させる一方、黒色炭素などは熱を吸収して気温を上昇させる可能性もあります。
特に南極や北極、グリーンランドやアラスカなどの極地に煤煙が降った場合、太陽熱をより吸収しやすくなって氷河の融解を誘発する可能性も指摘されています。
こうした気候変動はもちろん農業にもダイレクトに影響します。例えば1991年に発生したフィリピンのピナトゥボ山の大噴火は1993年に日本で「平成の米騒動」と呼ばれる事態を引き起こしました。
この際にタイ米が大量輸入され、まだタイ米の食べ方を知らなかった日本人から不平不満の嵐となったことを40代以上の人は覚えているかもしれません。
オーストラリアの森林火災は、エアロゾルや煤煙などの影響によってこのような農業への影響を及ぼしうる可能性が十分にあります。農業国として多くの農産物を輸出しているオーストラリア国内はもとより、ニュージーランドや南米などでも影響が出る可能性があります。
そうなれば、これらの国々から食料や飼料を輸入していた国での農業にも影響は生じる事となり、食品価格の高騰も十分に考えられます。
もちろん火災で排出されるエアロゾルや煤煙には少なからず毒性があるため、これを吸い込めば人間や家畜に健康被害も生じます。土壌に降り注げば作物の生育に影響を生じ、川から海に流れ込むことで河口部を汚染します。
地球上のどの国も同じ星の上にあって孤立しているわけではないように、グローバル化が進んだ現代社会では人間社会も互いに繋がり合っています。こうした状況下での大規模な森林火災はいかなる意味でも「対岸の火事」ではないのです。
日本からは、オーストラリアは南半球の遠い国のように見えるかもしれませんが、そのオーストラリアの森林火災は私たちの暮らしにまで影響を及ぼす可能性があることはしっかり認識しておいた方がよさそうです。
オーストラリアの森林火災に対する寄付や援助についてはVogueが詳細な記事を掲載しているため参考にしてみてください。
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