史上初めて時速100kmに達した車、19世紀の電気自動車(EV)でした


もはや現代人はこれを自動車だと認識できないかもしれません。ですがともあれ、こいつは史上初めて時速100kmを叩きだしたのです。詳細は以下から。

人類史上に最初の自動車が誕生したのは1769年のこと。蒸気で走る正真正銘のスチームパンクな乗り物でしたが、この際の速度は時速10km以下だったとされています。

そんな自動車が記念すべき時速100kmを記録したのは19世紀末の1899年4月29日のこと。「Le Jamais Contente(日本語では「満足しねえ」的な意味)」と名付けられたこの自動車は、なんと電気自動車でした。

19世紀半ばに充電可能なバッテリーが発明され、1881年に初の完全な電気自動車が作られます。それ以来、電気自動車の開発競争は現代に勝るとも劣らない激しいものとなっていったのです。

そんな中、世界最初期のカーマニアであり自らの工場を持つ自動車デザイナーでもあるベルギー人、Camille Jenatzy氏がこのLe Jamais Contenteを開発しました。
(Photo by Wikipedia

ライバルの自動車メーカーJeantaud社と大々的にスピード競争を行う中で、最高速度は次々と新記録を打ち立てていきます。
(Photo by Wikipedia

Le Jamais Contenteはアルミニウムとタングステン、マグネシウムの合金であるパルチニウム製のボディにPostel-Vinay社製の25kWモーター2発を搭載した魚雷のようなフォルムの乗り物。

200Vの電圧と124Aの電流で68馬力を発揮、最高速度時速105.88kmを記録しました。これはJeantaud社が2ヶ月前に出した時速92.78kmを10km以上上回るもので、3年間にわたり世界最速であり続けました。

フロントガラスもないこの車両での時速100km越えは顔と首に凄まじい風圧が掛かったことをJenatzy氏は証言しています。

現在この記念すべき電気自動車はフランスのコンピエーニュにある自動車博物館に鎮座しています。

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