本日からソフトバンク版iPhone 5が「ダブルLTE」対応に、イー・モバイル網利用でパケ詰まり解消へ



ソフトバンクモバイルが自社のiPhone 5でイー・モバイルのネットワークも利用できるようになる「ダブルLTE」を発表しました。



開始15分前の会場。思った以上に空いています。なお、会場ではソフトバンクから報道陣向けにWi-Fiスポットが提供されており、電波干渉を避けるためモバイル無線LANルーターなどの利用を遠慮するようアナウンスされていますが、なぜか今回は非常に重く、WEBページへの接続もままなりません。


いよいよ説明会がスタート。孫正義氏の登壇です。





プラチナバンドについてはギネスブック級のペースで基地局を建設。プラチナバンドのサービスインから半年、約2万局を前倒しで実現しています。






その結果、スマートフォンの音声接続率でソフトバンクが1位になったそうです。



「プラチナバンドに対応したスマートフォンにおいてのパケット接続率」でも1位に。


偶然ではなく、日別のコンスタントなデータでも1位になることが多くなってきたとしています。


「スマートフォン時代のつながりやすさは、パケット接続率でNo.1になることが重要」という概念を打ち出しています。



スマートフォンの使い方。現在は8割がデータ通信中心に。トラフィックも5年で60倍に膨れ上がりました。




そして問題となるのがアンテナバーが立っているのに通信できない「パケ詰まり」というもの。どうやらソフトバンクはパケ詰まりをアピールポイントにしたいようです。



「基地局の理論上の通信速度でサービスを比較するのではなく、安定性で比較するべきだ」と孫氏。1年間にわたって実際に利用できる端末が存在しないSoftbank 4Gの「110Mbps」をアピールしてきたソフトバンクならではのユニークな意見ではないでしょうか。


パケ詰まりに効果的な対策は小規模な基地局をきめ細かく設置する「小セル化」。プラチナバンドを利用できなかった時代に敷設した20万局近い基地局が生きてくるというわけです。





AXGPやWi-Fiスポットもさらなる小セル化に貢献



そして今日からiPhone 5、iPad Retinaディスプレイモデル、iPad miniでEMOBILE LTEが利用可能に。




混雑していないネットワークへの自動接続が可能になり、2014年末にはiPhone 5で利用できるLTE基地局がトータルで3万8000局に。






さらに東京と大阪でバックボーンをフルIP化。プラチナバンドと小セル化を合わせてネットワークを構築した結果、スマートフォン時代に接続障害などが起きなくなったとしています。




そして歯を食いしばって頑張ってきた結果、やっと結実してきたので今回の報告に至ったとのこと。特にiPhone 5の音声接続率調査では音声接続率が他社を上回っています。



また、パケット接続率調査についてはグループ会社による独自の解析システムを活用。結果は基地局計画の最適化に活用されています。




パケット接続率グラフ。ソフトバンクのパケット接続率が下がった部分については、iOSのアップデートにおけるバグによるもの。


iPhone 5のパケット接続率に限定すると、このような結果に。第三者機関による月間1.5億件のデータ解析によるもので、ソフトバンクが勝手に定義し、都合のいいデータを抜き出したものではないと孫氏。



地域別、ランドマーク別、時間帯別などで比較。偶然ではなく必然であることをアピールしており、まだまだ満足していないとしています。








そしてソフトバンクが通信ネットワークを強化することとなった原因には東日本大震災があり、以下のようなイメージ映像が公開されました。

通信ネットワーク強化を訴えるソフトバンクのイメージCM - YouTube


プレスリリースはこちら。

「ダブルLTE」の提供開始について | ソフトバンクモバイル株式会社

以下は質疑応答。

共同通信高橋:
ダブルLTEはだいたいどれくらい時間をかけるのか。始める場所は?

孫正義:
都市部の一番混雑しているところからスタート。山手線の駅周辺など、パケットが詰まりやすいところをダブル車線化。12月くらいには大半のところがダブルLTE化される。

?:
iPhone 5からとのことだが、ほかのスマートフォンに対応させはしないのか。

孫正義:
対象は広げていく。これから発売する端末には1.7GHzのLTEに対応したチップセットを搭載する。

?:
OSアップデートは?バッテリーに影響は?

孫正義:
アップデートは必要無し。バッテリーに影響もほとんど無い。

フリーランス西田:
パケット接続率調査に使った「Yahoo!災害情報」アプリのユーザーへの利用許諾は?いつから利用することを考えていたのかなど。

孫正義:
接続情報提供の際、個人情報は回収していない。1年ほど前から導入を検討していた。また、Wi-Fiルーターなどにも通信状況を確認するアプリなどを導入することを検討している。

フリーライター井上:
接続率が向上したとは思うが、通信速度は数字ほど他社との差を感じることができない。どうしてか。

孫正義:
ウェブブラウジングやメール閲覧などであればほとんど差が出ない。ドコモやauを含めて、日本のモバイル事情はトップクラス。ネットワークを誇りに思って頂きたい。世界で最も高速で最も電波がつながり、最もパケ詰まりが起きづらいのが日本の携帯電話。

日経新聞川上:
2012年度末までの目標で「Softbank 4G LTE」「Softbank 4G」「EMOBILE LTE」の人口カバー率を設定していたが、達成状況は?

孫正義:
公表しているものについてはほとんど達成している

日経コミュニケーションの堀越:
パケ詰まりの原因は無線アクセスの部分や端末の問題、コアネットワークなどがあると思うが、どこにネックがあると考えているのか。iPhone 5向けにネットワークが最適化されているように思われるが、接続率の向上に貢献しているのか。

孫正義:
基地局の増加だけでなく、バックボーンの強化によってどこでも高いパフォーマンスを実現するように細心の注意を払ってきた。いろいろなノウハウなどがあり、重大事故を起こしていない。

一番パケ詰まりの大きい要素はアクセス網、基地局数や周波数であるのは間違いないと考えている。ロードバランスやいろいろな機能を徹底的に入れながらやっている。iPhone5は最も売れている機種。iPhone 4SとiPhone 5を比較すると、データトラフィックは2倍。同じ数のユーザーが利用してもデータ量は2倍になる。

他社に先駆けてiPhoneの比率を高めていったキャリアであるだけに、先手を打って対策してきた。最も通信障害やパケ詰まりを起こしていない。日本地図を500×500メートルに分割し、接続率をチェックしている。月間1億5000万のデータを解析しながら整備しているのは世界でソフトバンクのみ。1.7GHzのEMOBILE LTEは必要不可欠な拡張だった。

日経コミュニケーション堀越:
NTTドコモやKDDIの接続障害があるのはコアネットワーク側の部分。大規模障害が少ない理由は基地局ベンダーのノウハウによるもの?

孫正義:
世界でも最もトラフィックが混雑しているのは山手線の内側。トップから末端に至るまで障害には物凄く注意を払っている。多重の安全弁が仕掛けられているのが我々の特徴。

日経コミュニケーション堀越:
実際にアクティブな家庭用ルーターは?オフロード効果は?

孫正義:
実際にアクティブな家庭用ルーターは200数十万台。データトラフィックが無線LANにオフロードされるため、月間のデータトラフィック量が倍違う。特にトラフィックの多いユーザーに積極的にルーターを配っている。

Bloomberg:
プラチナバンド基地局の設置前倒しは設備投資の額に影響するのでしょうか。ダブルLTEのサービスインに伴って、どれだけの新規顧客増加を想定しているのか。Sprint買収の進捗状況は?

孫正義:
今は山間部などに鉄塔の建設を進めている。それが終わればキャペックス(不動産を維持するための修繕費用ではなく、不動産の価値や耐久年数を延ばすための経費)が落ち着く見込み。電波を理由にソフトバンクを敬遠していたユーザーの取り込みを見込める。Sprintの件については非常に順調に政府関連の手続きも進んでいる。2週間に1回は先方と顔を合わせ、ビデオ会議も行っている。お互いの情報交換や学習についても進展している。

?:
今回は3社比較を行ったが、iPhone 5でのより詳細な比較はあるのか

孫正義:
iPhone 5同士のデータをみると我々はより有利である。

フリーランス石野:
ダブルLTEはAXGPを利用しているAndroidスマートフォンにも導入するのか。ダブルLTEを使える具体的な場所は?

孫正義:
「ダブルLTE」を使える周波数についてはなるべくiPhone 5を中心に導入していく。AndroidにはAXGPでのすみ分けを導入。本日の時点では池袋周辺がダブルLTEを体感できる。

?:
ダブルLTEは各ネットワークを併設していくのか

孫正義:
2014年末までにソフトバンクが3万、イー・モバイルが8000のLTE基地局を建設する方針。1.7GHzがあるところは2.1GHzがあるようにする。

ケータイwatch津田:
今後の差別化のポイントは?

孫正義:
LTEの技術は世界標準であるため各社共に使える。一番の差別化ポイントは小セル化だと考えている。一番いい場所に一番たくさん基地局を持っていたウィルコムの買収が一番プラスに働いている。

?:
イーアクセスの買収無しには成り立たなかった?買収は不公平だという意見があるが、どう考えているのか。

孫正義:
ユーザー数で言えばKDDIを抜いた。17を足しても多すぎるわけではない。700はソフトバンクに割り当てられなかった。これは電波の問題。もう一つは、ソフトバンクよりも先にKDDIが正式に買収の申し入れをしていた。もし実現していれば一気に不公平になっていたのではないか。イーモバイルは音声通信エリアが拡大したというメリットもあった。イーモバイルのつながりやすさの効果は絶大。

TBS大鶴:
アベノミクスに期待する点は?

孫正義:
非常にいいことだと考えている。すごく大きく影響を与える部分がある。もう一つは為替が円高に振れすぎていたのが是正されたのは良い。三本の矢の一つ「成長戦略」についてははIT産業の振興に着目いただきたい。


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