現存する人類最古の芸術作品とも呼ばれるヨーロッパの洞窟壁画。これらを作り上げたアーティストが定説とは異なり、多くが女性であったという研究報告がなされました。
これまで、アルタミラやラスコーといった現生人類の最初期に描かれた洞窟壁画を描いたアーティストは男性だとされていました。水牛やトナカイ、馬やマンモスが描かれていたことから、男たちが狩りで殺した獲物を記録したり、魔術的な儀式をとり行うためのものであると広く信じられてきましたが、この研究はその定説に大きな疑問を投げかけることになります。
今回の発見をしたのはペンシルヴァニア州立大学の考古学者Dean Snowさん。10年ほど昔にイギリスの生物学者John Manningさんによる「男女の指の長さの比率は違う」という発見を受け、フランスの洞窟壁画の残るペシュメルル洞窟の手形タイプの壁画で男女比を計算しました。
Snowさんはヨーロッパ系の血統の男女の持つ手の特徴の規準集合からアルゴリズムを作り分析、その結果手形の75%が女性のものであったという結論に至りました。
「文化芸術に関しては男性寄りの偏見が長年染み付いている。誰がなぜこれらを作ったかということについて根拠のない憶説が作られ続けてきた」
とSnowさんは指摘します。
芸術は人類が近代的な認識力や象徴的な行為を進化させるために重要な役割を果たし、言語の発展とも関係があるとされています。Snowさんのこの発見は、先史時代の女性の役割が、これまで考えていたよりもはるかに大きかった可能性を示唆しています。
ただし、現時点ではこの発見は広く受け入れられるには至っていません。新しい発見を認められない頑迷さが学会に存在するのか、それともまだ証拠としては弱いのか、ともあれさらなる検証が求められることになりそうです。
Earliest artists were women claim researchers as study of cave paintings reveal majority of prints were from female hands Mail Online
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