関西の一部鉄道の謎ルール「携帯電話電源オフ車両」がようやく廃止へ


Photo by Peter Kirkeskov Rasmussen

「携帯電話が心臓ペースメーカーに与える影響は小さい」と総務省が昨年1月に指針を緩和してから1年半、ようやく関西の一部鉄道で導入されてきた携帯電源オフ車両が廃止されることになりました。


心臓ペースメーカーなどの医療器具に対する携帯電話の電波の影響が危惧されるようになったのは急速に携帯電話が普及し始めた平成7年頃から。平成17年には総務省が携帯電話とペースメーカーを22センチ以上離すことを推奨した距離指針が策定されました。

これを受けて携帯各社は優先席付近での携帯電話オフを呼びかけることとなっており、関西の一部の鉄道では「携帯電話電源オフ車両」なるものまで登場していました。

しかし、平成24年7月に電波の出力が強く、ペースメーカーの誤作動を招く恐れのあるとされた「第2世代」(2G)と呼ばれる携帯電話のサービスが終了。さらにペースメーカーも改良が重ねられ、現在では電波の影響を受けにくくなっています。

これを受けて総務省が再度現行の第3世代(3G)携帯電話のペースメーカーへの影響を調査したところ、携帯電話から3cm以上離れればペースメーカーに影響がないと判明。昨年1月の時点で距離指針を22センチから15センチへと変更しました。

京阪電車はこれを受けて昨年3月から混雑時を除いた電源オフの呼びかけを停止しましたが、阪急電鉄を始めとする関西の私鉄の多くとJR西日本は優先席付近での電源オフの呼びかけを継続。

今回緩和から1年半が経過してようやくこうしたルールが実態に則したものへと変更されることが決定。電源オフの呼びかけは「混雑時には」と限定する形に見直されることになりました。これに合わせて一部鉄道会社の実施していた携帯電源オフ車両も廃止されることとなります。

関西鉄道協会は「電源を切ってもらう根拠が薄くなってきた。携帯電話が緊急地震速報など非常通報ツールになっていることを踏まえた」とのコメントを出しています。

新たなトラブルやマナー低下を危惧する声も規制緩和に対しては根強く存在していましたが、携帯電話のマナーはそもそも別問題ですし、トラブルを防ぐのであればむしろ情報の周知徹底が必要でしょう。実情にそぐわないペースメーカーへの影響を鉄道会社が率先して警告していたのでは、その「常識」が勝手に変わることは期待できません。

関西の鉄道「ケータイ電源オフ」見直します、電源オフ車両も廃止へ (産経新聞) – Yahoo!ニュース

(Photo by Peter Kirkeskov Rasmussen

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