地獄的な非現実感に侵食されるAlfred Kubinの「怖い絵」

ネットでは時折「怖い絵」や「怖い画像」が話題になりますが、こちらはひと味違います。詳細は以下から。

オーストリア系ハンガリー人アーティストのAlfread Kubinはリトグラフやペンとインクのイラストレーションという手法で煤けたモノクロの堕落し、地獄的な世界を表現し続けました。その作品にはゴヤやムンクの影響も見られると言われます。

Kubinは生涯を通じて多くのトラブルを抱え込んだ人でした。1896年には母親の墓の前で自殺を計り、その後短期間軍隊に所属しましたがメンタルヘルスの問題から除隊となり、アートを学ぶことを決意します。Kubinはミュンヘンのアヴァンギャルドシーンで最初の成功を収めますが、より自律的な生活を求め、疎遠になっていきました。

1906年にKubinは田舎の12世紀に建てられたオーストリアの小さな古城に引っ越しますが、自らの作品のプロモーションのためにあちこちを飛び回る日々でした。

その後の第一次世界大戦はKubinの作風に影響を与え(大戦中に彼は一時的に仏教に傾倒します)、彼の中で戦争が大きなテーマになってゆきます。第二次世界大戦中はナチス・ドイツによって彼の作品は「退廃的だ」として禁止されましたが、それでもKubinは構わず制作を続けていました。

Kubinの絵には小さな人間を圧倒する巨大なモンスターがしばしば登場します。単なるシュールレアリズムの作品と呼ぶにはあまりに禍々しく、地獄的。ラブクラフトのクトゥルー神話の「旧支配者」や「外なる神」を思い起こさせます。

















これ以外のAlbured Kubinの作品は以下リンクなどから閲覧可能。

Alfred Kubin – an album on Flickr

Alfred Kubin on artnet

The surreal and ‘degenerate’ art of Alfred Kubin Dangerous Minds

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