iPhone 5s/5cで国内のプラチナバンドLTEをサポートし、iPhone 6ではキャリアアグリゲーションとTD-LTE(WiMAX 2+やAXGP)に対応するなど、着実に進化を遂げてきたiPhoneのネットワーク機能。
次はどのような進化を遂げるのかが気になるところですが、携帯電話会社の動きからiPhone 6sの目玉機能が見えてきました。詳細は以下から。
◆TD-LTE(WiMAX 2+、AXGP)のキャリアアグリゲーション対応はほぼ確定
まず念頭に置いておきたいのが、現在UQコミュニケーションズが進めているWiMAX 2+の周波数再編。これは2つの電波を束ねて高速化させる「キャリアアグリゲーション(CA)」を用いて、WiMAX 2+の通信速度を下り最大110Mbpsから最大220Mbpsに引き上げるため、WiMAXで使用している周波数帯をWiMAX 2+に振り向けるというもの。
UQコミュニケーションズは今年初頭の記者発表会で、「切り替えには1年ほどかかる」とコメントしていましたが、大幅に前倒され、9月末には完了する見通しであることが先日発表済み。
時期的に新型iPhone発売をにらんだものとみられ、iPhone 6sは大手3社が提供するFDD-LTEだけでなく、WiMAX 2+やAXGPが互換性を持つTD-LTEでもCAを利用できるようになると考えられます。
◆実はFDD/TD-LTE間のキャリアアグリゲーションは実現済み
そしてもう一つ、見逃せない大きな要素がFDD-LTEとTD-LTEを組み合わせたキャリアアグリゲーション。
iPhone 6が発売された1ヶ月後の2014年10月、シンガポールの携帯電話会社・SingTelとエリクソン、クアルコムがSingTelの商用ソフトウェアおよびハードウェア、そしてSnapdragon 810搭載スマホで下り最大150MbpsのFDD-LTEと下り最大110MbpsのTD-LTEを束ね、下り最大260Mbpsの高速通信実験に成功しています。
また、今年6月にはボーダフォンがポルトガルで世界初となる商用ネットワークでのFDD-LTE/TD-LTEのキャリアアグリゲーション提供を発表。
日本でも「Xperia Z4」をはじめとするSnapdragon 810採用スマホはすでに発売されている上、KDDIが「技術的には提供可能」と回答しているため、LTEとWiMAX 2+やAXGPのCAは携帯電話会社の都合次第でスタートできる段階にあるわけです。
新型iPhoneが発売されるたびに、携帯各社が差別化要素をしきりにアピールしていることを考えると、iPhone 6sの発売はキャリアアグリゲーション提供をアナウンスする絶好のタイミングではないでしょうか。
◆通信が安定しつつ、より高速に
そして最も大事なのが、FDD-LTE/TD-LTE間のキャリアアグリゲーションが実現した場合のメリットですが、まず確実に言えるのが、「今まで以上に通信が安定しつつ高速になる」という点。
今までは以下のようにLTE同士、WiMAX 2+やAXGPといったTD-LTE同士を束ねていたため、建物の中に弱い2.5GHz帯の電波を利用しているTD-LTE接続時は、高速通信できるものの通信の安定性に問題がありました。
しかし今度は「建物の中にも強いプラチナバンドLTEを掴みながら、TD-LTEを含む高速回線を掴む」といったことが可能に。携帯各社は将来的に3つ以上の電波を束ねたキャリアアグリゲーションの提供を視野に入れていることを考えても、FDD/TD-LTE間のCAは非常に重要な技術です。
スマホユーザーの増加で、通信量が今後も増大し続けると予測されている昨今。FDD/TD間のCAが実現すれば、増大する通信量に対し、携帯各社が持てるネットワークすべてで対応できるようになるため、開始時期の発表が待たれます。
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