国内ゲイ雑誌の一角「G-men」が休刊することになりました。
ゲイ雑誌の休刊は2002年2月号で休刊した「さぶ」以来、実に14年ぶりとなります。詳細は以下から。
ゲイ雑誌「G-men」の公式ツイッターによると、同誌は2016年2月20日発売の241号をもって休刊するそうです。すでに240号でゲイ雑誌のあり方についての企画記事を掲載しており、今後はデジタルコンテンツでの配信やテーマに特化した書籍などの刊行も計画しているとのこと。
G-menは1995年4月に創刊され、昨年文化庁メディア芸術祭 マンガ部門で優秀賞を獲得した「弟の夫」の作者で、ゲイエロティックアートの巨匠・田亀源五郎氏が立ち上げメンバーに参加。
後の「ガチムチ」につながる「SG(スーパーガッチリ)」という単語を生み出すなど、体育会系を好む男性同性愛者向けの雑誌として不動の地位を築きました。
初期には田亀氏に加え、国内外で「熊系」漫画家として有名な藤本郷氏や、「クレバリー」のマスコットキャラクター「山田くん」を描いていたことでも知られる平太朗氏、サイバーコネクトツーのニンテンドーDS向けゲーム「Solatorobo(ソラトロボ)それからCODAへ」の世界観設定などを担当した呑辺犬助氏などが執筆。
2000年代以降は国内外で人気の児雷也氏や戎橋政造氏による漫画や小玉オサム氏や城平海氏の人気小説コミカライズ、ジャンルを絞った専門誌や、漫画専門誌を発行するなど事業を拡大。
しかしインターネットの普及により、読者の文通仲介(回送)や、男性同性愛者同士が出会う場所の紹介といった、かつてのゲイ雑誌に求められていた役割が薄れる憂き目に。
さらに出版社と販売店の間に亀裂が入り、主要ゲイショップの店頭から排除されてしまったほか、発行元を古川書房へと移した2000年代中ごろに、購買層拡大を意図してか、腐女子を意識した紙面作りを導入したことで、本来の読者層離れを招く事態に。
2014年には戎橋政造氏が原稿料未払いを理由に同誌での連載を打ち切る、熊田プウ助氏による最長連載作品「極楽コロシアム」の掲載ページが突然減る、鳴り物入りで立ち上げを告知した出会いアプリが始動しない……など、運営に関する問題が顕在化していました。
なお、G-menの休刊により、国内に残るゲイ雑誌はマツコ・デラックスを輩出したことでも知られる「Badi(バディ、若くて細め)」系と、「SAMSON(サムソン、中高年向けで太め)」の2誌のみとなります。
・追記
今回の休刊発表を受けてG-men連載陣が続々とコメントを寄せ、途中で終わってしまう作品の今後などについての告知が行われました。
G-menの今後については「編集長から聞いているお話では、今後も不定期で刊行物は出すつもりでいるそうです」「個々の小説とか漫画とか写真集的なもののデジタル配信は続けていく」としており、デジタルへ完全移行して毎月続刊するわけではないことが示唆されています。
城平は書き続けます! | 青いモノローグ
新しい小玉オサムblog | ジーメン休刊
市川和秀の福袋 >> G-men休刊だそうでして……
日記 - 絵置き場 | 呑辺犬助
TAMA: "最終号のG-men、発売になりましたね。 月刊誌としてのG-menは一先ずこれでお休みです。 そして自分なりに読者の方々に挨拶をしたためてみました。少し長いので、暇なときにでも読んでいただければ幸いです。"
あすかともゆき: "G-men休刊。 G誌には約15年間お世話になりました。ひたすら感謝いたします。"
犬義さん: "絵を描くのは子供の頃から好きだったけど、漫画を描く思いが強くなったのは、G-menで沢山の作品を読み、憧れ、自分も載りたい!という気持ちが芽生えたからでした。ありがとうございました。。。(さみしい)"
単行本だけでなく画集なども販売され、「G-menの秘蔵っ子」というキャッチコピーまで付けられた児雷也氏も「お話を聞いたときはやはり青天の霹靂」「作家として非常に大切にあつかってもらい本当に一から十まで自由に漫画を描かせて頂けた最高の遊び場」とした上で、感謝の言葉を述べています。
またいつか会いたいよ : ヒゲとボイン
また、創刊当時から「闇の中の軍鶏」「PRIDE」「君よ知るや南の獄」などを連載し、カバーイラストや漫画家を目指すための登竜門「田亀源五郎賞」の審査などを手がけていた田亀源五郎氏は同誌と10年前に袂を分かったことを明かした上で、複雑な心中を吐露。
田亀源五郎さん: "私自身は、同誌とは2006年に袂を分かって以降、何のお付き合いもありませんが、他ならぬ自分が創刊に関わった雑誌ですし、同誌で活躍中の知人友人も多くいらっしゃるので、色々と複雑な思いが去来します。さようなら。"
他にもかつて同誌で執筆していたにもかかわらず、一切コメントを表明していない作家さんも複数おり、それぞれの胸に複雑な思いが去来していることを窺わせています。
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