「若者の恋愛離れ」は日本だけでなくアメリカ合衆国でも進んでいた

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Photo by joey zanotti

若者の恋愛離れが叫ばれる日本ですが、似た状況は海外でも発生していました。詳細は以下から。

かつて「不純異性交遊」という言葉が存在したように、若者の恋愛やセックスは何かと上の世代のバッシングの対象にされてきました。現在の日本では「若者の恋愛離れ」が大きく取り上げられていますが、その傾向は日本国内だけのものではありませんでした。

サンディエゴ州立大学のJean Twenge教授はアメリカ合衆国の居住者を対象として、人口統計学的特徴や、（社会的）意識についてのデータを収集する目的で執り行われている社会学的調査である「総合的社会調査」のデータを利用。26707人の地理的、人種的に典型的なアメリカ人のデータを用いて研究を行いました。

Twenge教授はデータの中の「18歳を回ってからの性的パートナー」についての質問に注目しましたが、18歳以降の期間が短いため、当然のことながら1980年から1990年代初頭生まれの回答者の「性的パートナーはいない」という回答は多くなっています。

では、それよりも上の世代が同じくらいの年代だった時の調査ではどうだったのでしょうか？今の若者より20年から30年前の（今では40～50代の）世代が若者だった時に比べてみても、今の若者の「性的パートナーはいない」と答えた割合は多くなっているのです。

90年代初頭に産まれたグループの15％が「18歳を回ってからの性的パートナー」が存在しないと答えている一方、30年前の調査では60年代初頭に産まれたグループの「18歳を回ってからの性的パートナー」が存在しないと答えた割合は6％に過ぎません。

共同研究者であるフロリダ・アトランティック大学Ryne Sherman博士は「最近の世代では集団ごとの違いが際立ってきている」と言います。「例えば女性は男性に比べて性的に活動的ではなく、白人は黒人に比べて、大学進学者は非進学者に比べて、東海岸は西海岸に比べて性的な活動性が低くなっています」とのこと。

Twenge教授は「情報技術の発達が若者の性行動にマイナスの影響を与えているかもしれない。若者がよりオンラインで時間を使えば、その分だけ生身の人間と関わる時間は減ってしまう。こうして彼らはよりセックスをしなくなるのかもしれない」と推測します。

また「この世代は「安全」に関心が強いと言える。それは若者がよりお酒を飲まなくなり、大学のキャンパス内でヘイトスピーチを受けたり政治的・社会的な同調圧力を受けなくて済む空間である「セーフスペース」に関心を持っている。彼らはリスク回避世代であり、そうした態度は彼らの性的選択にも影響を与えるだろう」としています。

また、Sherman博士は「個人主義の伸長によって、若い世代のアメリカ人は自らの態度をそれまでの規範に適合させなければというプレッシャーを感じずに寛容な心持ちでいられるのだろう」と指摘しています。

この辺りの解説は特に無難で間違っていることもあまりなさそうですが、彼らがなぜ「リスク回避世代」であるかについては一考が必要になりそうです。

先日BUZZAP!では「年収が低過ぎて恋愛も結婚もできない！若者の貧困で少子化のアクセル全開であることが判明 | BUZZAP！（バザップ！）」とした記事を掲載しましたが、恋愛・結婚と年収の間に強い相関関係が見られました。

アメリカ合衆国でも奨学金の問題や低賃金の問題（時給15ドルを達成した州や街もありますが…）は厳然として存在しており、低所得層の若者が奨学金の返済への援助や免除を求めて軍隊に入る事例も多く見られます。

こうした社会情勢と若者の恋愛やセックスとの関係についてもより深く考察がされるべきところ。若者たちの文化やマインドは少なからずその社会と時代の世相を反映するものであり、決して彼らだけの問題として扱われるべきではないでしょう。

Despite The Hype, Fewer Millennials Are Having Sex Than Predecessors _ IFLScience

（Photo by joey zanotti）