気が付けば国内最後の液晶メーカーとなったジャパンディスプレイが非常に厳しい戦いを強いられています。詳細は以下から。
日本経済新聞社の報道によると、Appleや中国メーカーのスマホ販売不振を理由に、2016年第1四半期に117億円の純損益を計上したジャパンディスプレイが筆頭株主の産業革新機構に金融支援を要請したそうです。
これはAppleが2018年にも液晶に代わって有機ELディスプレイを採用したiPhoneを開発する予定であるなど、有機ELパネルの需要が拡大していることを受けたもので、量産体制を構築するための資金を確保し、成長を持続できる体制を再構築するのが狙い。
しかしすでにSamsungやLGが有機ELの量産で大きく先行しており、今後数千億円を投資することも決定しているため、これから支援内容を協議するジャパンディスプレイは非常に不利なのが現状です。
さらに韓国勢のみならず、政府の支援を受け、約7700億円かけて10.5世代の液晶工場を着工するなど、液晶で世界トップ3に上りつめようとするBOEや天馬などの中国勢も有機ELの生産に取り組んでいます。
6月にパナソニックがテレビ向けパネルの生産から撤退し、シャープが鴻海傘下となったことを受け、残ったメーカーはスマホ向けを手がけるジャパンディスプレイのみとなった日本の液晶産業。なお、同社はソニー、日立、東芝の中小型液晶事業を統合して立ち上げられたメーカーです。
かつては先行していたにもかかわらず、いつの間にか韓国、中国勢を追う立場になってしまったわけですが、投資判断を誤ればエルピーダの二の舞となってしまいかねないだけに、今後の動向に注目が集まります。
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