1879年に始まり、2100年まで続けられる「世界一長い実験」とは?


19世紀に始まり、21世紀の終わりまで、とある実験が続けられています。詳細は以下から。

実験というとどんなことを思い浮かべますか?小中学校の理科の時間の実験でしょうか。理系の大学進学者は何日も泊まり込みで研究室に詰めた日々のことを思い出すかもしれません。そんな実験の中で、1879年に開始された世界最長となる実験が今現在も脈々と続けられています。

その実験は今から137年前、アメリカ合衆国のミシガン州立大学で始まりました。植物学者のWilliam James Beal博士はそれまで農家が何世紀にも渡って疑問に思ってきた「いったい何度草を抜いたらそれ以上生えてこなくなるのか」という問いに最終的な結論を出そうとしました。

Beal博士はそのためには実際に調べることが必要だと考え、種子は土の中でどれくらいの期間発芽できる状態で休眠することが可能なのかを正確に調べようとしました。

そして1879年に十件が開始されました。Beal博士は23種類の植物の種子を極めて長い間休眠状態に置き、それらの種子が発芽可能かを調べようとしたのです。Beal博士はそれぞれの種類の種子を50粒ずつ、細口の瓶にしめった砂と共に詰めました。その瓶を20個作成し、大学のキャンパスのひみつの場所に埋めたのです。

Beal博士の自著によると、瓶は封をされず、口を下に向けて埋められたため、種子が水浸しになることはありません。そしてそれらの瓶は砂の小山になっている場所に東西一列に埋められました。Beal博士の計画では5年ごとに1つの瓶を掘り出し、発芽するかを調べようということになっていました。

Beal博士が引退するまで、5年ごとに6つの瓶が開けられました。そして時が流れ実験は若い同僚のHenry Darlington博士に受け継がれ、さらに他の植物学者が引き継いだ後に現在はFrank Telewski博士が管理しています。

本来そのまま実験が進めばちょうど100年後の1979年に20の瓶全てが開けられて実験は終了するはずでした。しかしBeal博士が引退した後の1920年、種子が安定して発芽するのを見た後継者が、瓶を取り出す周期を2倍の10年に設定し直したのです。

そしてさらにその後継者が周期をさらに2倍の20年に設定。一番最近瓶が開けられたのはTelewski博士が2000年に開けたものになります。Telewski博士はある春の夜に秘密の場所に赴き、誰からも注意を引かないようにこっそりと瓶を掘り起こしました。

Telewski博士は「私たちは瓶をどこに埋めたか知られないようにしている。誰かが調べ回って託された瓶を掘り起こしたりしないようにね。私はいつもキャンパスで新しい建設作業が行われる時はナーバスになっているんだ。だってもしかしたら『そこにビルを建てちゃダメだ。何でって?理由は言えないけど、ダメなものはダメなんだ!』って言わなきゃいけなくなるかもしれないからね」としています。

2000年に開けられた瓶から発芽したのは23種類のうち2種類のみ。より多く発芽したのはアメリカ合衆国ではよく見られるビロードモウズイカで、50粒のうち23粒が発芽しました。もう1種類はハイアオイで、1粒のみ発芽しました。

現在の計画では実験は2100年に終了することになっています。しかしTelewski博士はその期間を延長することも考えています。「この実験は生きた記憶で、とても大切なものだ」と博士は考えています。

実際のところ、農家が除草剤という手段を持っていなかった19世紀ではこの実験は現実的な意味があったものの、今現在では実験結果自体が農業に革新的な進歩をもたらすことは考えにくい状況となっています。

むしろ実験に関心を寄せているのは自然保護主義者たちで、一度ある地域で絶滅したと思われる植物が、休眠状態で土の中で眠り続けており、いつか再び地上に顔を出す可能性を知ることに繋がるとのこと。

19世紀ならではのゆったりとした実験ですが、果たして次に瓶が掘り出される2020年、いくつの種子が休眠から覚め、その芽を伸ばすことになるのでしょうか?

The World's Longest-Running Experiment Started in 1879 and Will End in 2100 _ Oddity Central - Collecting Oddities

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