【後編】大阪よりも遠い京都の「辺境」、大原野を散策してきました



京都市内から大阪に行くよりも時間が掛かる場所が京都には存在しています。そこにはいわゆる京都とは違った時間が流れていました。

【前編】大阪よりも遠い京都の「辺境」、大原野を散策してきました | BUZZAP!(バザップ!)

大原野の山深くに佇む金蔵寺まで到達したBUZZAP!取材班。せっかくなので山道を通り、もうひとつの山深いお寺、善峯寺(よしみねでら)まで歩いてみることにしました。基本的に「杉谷」という集落に向かい、そこから下る道のりになります。


もういきなり鬱蒼とした山道です。張りだした木が立派すぎます。


ゴツゴツとした岩もあり、ちょっとピクニックというか結構本格的。そして人気はまったくありません。


時折ぽつりと落ち椿が。実際あちこちに椿の木が見られました。


最初は何に注意なのか読みにくかったのですが、「マムシに注意」ですね。ここで噛まれたらどうしたものかと心配になるほど誰もいません。


滝がありました。どうやらこれが「産の滝」のようです。ちょっと水量は少なめ。


そこを超えると小さな橋があり、道が平らになります。


このちょっと先にあったのが「金蔵寺無縁塚」。敢えて写真は撮りませんでしたが、驚く程無数の墓石が詰め合わせるかのようにギッチリと並べられていました。この看板を見る前にその光景を見て「墓の墓場」という印象を持ちましたが、訪れ、参る人もいない墓が並んでいるということは、つまりはそういうことなのかもしれません。筆者は霊感などはまったくありませんが、不気味な雰囲気などはなく、むしろ静謐な印象さえ受けました。


この看板のところから車道に合流します。再び杉谷を目指します。


車道ながら、車の通行は少ないだろうと思わせる道。この辺りはひたすら平らです。


このまま行き止まりになるのではないかと不安になるような静けさ。auの電波は途切れがちです。


突然現れる「世界平和祈念大宝塔」の入口。「京都随一眺望絶佳」なら入らせてくれてもええやん!と思いますが、セコムの警報を鳴らして怒られるのも申し訳ないので諦めます。


なお、上京区に位置する日蓮宗の大本山である妙顕寺の公式ブログによると、この「世界平和祈念大宝塔」は通称西山宝塔と呼ばれ、作られた経緯と理由は以下の通り。

この世界平和祈念大宝塔は平成十四年に日蓮大聖人立教開宗七百五十年の聖年を慶讃し、又この推進に大偉業を果たされた大本山妙顕寺御開山日像聖人の遺徳を敬仰す可く建立されたものであるが、又一つにはこの日本の古都京都が奇蹟的にあの大戦災を免れ昔の姿を保つ事が出来た大事実を顕彰感謝す可く永世世界平和の祈りを表現せんと志すものである。

西山宝塔|龍華 大本山 妙顯寺|日蓮宗 寺院ページより引用)


しょうがないのでスルーしてさらにてくてくと歩くと動物よけの電気柵の張り巡らされた農地が見えてきます。杉谷の集落も間近でしょうか。


ようやく杉谷に到着です。金蔵寺からここまで2.4kmでした。ポンポン山が気になりますが、ここはこらえて1.6km先の善峯寺を目指します。ここからは狭く急な下り坂で車の往来もあるため注意が必要。


こんな感じでかなりの急坂が延々と続きます。


「眺望絶佳」の看板のある三鈷寺。既に時間が遅くなっているので泣く泣くスルーします。


三鈷寺経由で善峯寺には下れないので注意。この辺りを考えると車で来た方が無難ということになるかも。


善峯寺の前まで到着しました。これは善峯寺、光明寺、柳谷観音を結ぶ西山古道と呼ばれる巡礼の道の入口です。こちらもトレッキングルートとしては魅力的ですが、今回はパス。



こちらが善峯寺の入口を潜ったところにある駐車場。山の中とは思えない程大きく立派なお寺です。善峯寺は平安中期の1029年に源算上人により開かれた天台宗の寺院。やはり応仁の乱で大半が焼失しましたが、金蔵寺と同様に江戸時代になって徳川綱吉の母桂昌院により再興。桜・あじさい・秋明菊・紅葉などが有名です。


駐車場の奥の入口。


参拝の入口となる西山宮門跡ですが、今日は既に拝観時間は終了。やはり大原野は午前中から来るべきであることを再確認です。


入口から階段を10分ほど下ったところにバス停があります。バスでここまで来てもあの階段を登るのか…とちょっと憂鬱にもなります。


もちろんこの時間にはもう終バスは出てしまっています。平日は15:24、土日祝日でも16:24でおしまい。タクシーを呼ぶのも癪なので、下り坂をゆっくり歩いて下りることに。


不思議な仏像が道ばたにあります。


所々で素晴らしい眺望に出会います。辺りは静かな住宅地です。


カラフルな重機の並ぶ敷地。


坂を降りきった辺りにあるのが十輪寺。850年に文徳天皇が染殿皇后の安産祈願のため伝教大師作の延命地蔵を安置したのが起こり。平安時代の歌人である在原業平の晩年の住まいであったことから業平寺としても知られています。こちらも桜と紅葉が有名。


こちらも残念ながら拝観終了。


さらに10分程歩くと京都縦貫道の陸橋に行き当たります。ここまで来るとようやく京都盆地に降り立った気分に。



バス停に向かって歩く途中に養鶏場を発見。なぜかたくさん犬が飼われています。


ちょっとたまらん感じの自動販売機がありました。左側の玉子は分かるのですが、何故か右側にお菓子が入っています。近くにコンビニなどもないため、こちらも分かるといえば分かります。


小腹が空いていたので思わず3個入りのゆで玉子を購入。140円なり。


帰りがけに見つけた大蔵神社。養老2年の創建ということは西暦718年。素戔嗚尊の息子に当たる大蔵神を祭っています。このような古い寺社が点在しているところが大原野の魅力のひとつとも言えそうです。


もう少し歩いて灰方のバス停に到着。「灰方東筍組合 出荷場」の建物が半分待合室になっています。このローカル感はたまりません。


バスを待つ間に日が暮れてきました。大原野神社に最寄りの南春日町でバスを降りたのが15時前のため、かなり急ぎ足でしたが3時間余りで今回の行程を歩いたことになります。


前編でも指摘したように、大原野を公共交通機関で観光するならば午前中から動き始め、お弁当や軽食、飲み物を準備して歩くのが良さそうです。

また、もし今回BUZZAP!取材班が通ったコースを歩くのであれば、善峯寺までバスで行けるため、逆回りの方が楽だと思われます(バスで善峯寺に直行すると十輪寺は行けませんが…)。

足腰が大変、桜や紅葉をサクッと見て回りたいという場合は京都市内でレンタカーやカーシェアリングを利用するか、タクシーを1日チャーターした方がよいでしょう。現在は桜や紅葉の時期でもそこまで観光客塗れにはならなそうですが、今後ブームになってしまうと大混雑する可能性もあります。気になった人は早めに訪れておいた方がよいかもしれません。

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