しょっぱい食べ物が脳の精神行動や認知に直接影響を与えることが明らかに


しょっぱい味が大好きな日本人には大いに関係のある話です。

塩分の過剰摂取は喉が渇いたり身体がむくむ、血圧が上がるといった症状を引き起こし、脳梗塞や心筋梗塞の原因となる高血圧症や不整脈・虚血性心疾患、腎臓疾患といった生活習慣病の原因となり、尿路結石、骨粗しょう症、胃がんの誘因ともなります。

こうしたことは昭和の時代からテレビでも繰り返し指摘されてきたことですが、今も多くの味が濃く、しょっぱい食べ物は日本人に好まれ続けています。そんなしょっぱい食べ物が実は脳にも直接影響を与えていることが最新の研究で明らかになってしまいました。

ニューヨークのFeil Family Brain and Mind Research Institute at Weill Cornell MedicineのCostantino Iadecola博士が主導し、ジャーナル「Nature Neuroscience」に掲載された研究によると、塩分過多な食べ物を食べたマウスは血流の欠乏によって精神行動の低下や認知障害が見られるようになったとのこと。

極めてしょっぱい食べ物を食べた後にマウスは獲得済みの迷路を走破するスキルを一時的に喪失し、通常は機能しているはずのほおひげの反応すらなくしてしまったのです。そして興味深い点として、こうした症状は塩分による血圧上昇が起こっていない時にも生じていました。

研究によると「脳は塩分がもたらす害の最初のターゲットとなります。研究の結果では塩分過多の食べ物で飼育されたマウスは脳灌流圧低下を示し、大脳の微小循環系の内皮の調節機能に深刻な変性をもたらし、後々に認知障害を引き起こします」とのこと。

研究チームは実験で通常の8倍から16倍の塩分をマウスに摂取させ、これによって大脳皮質と海馬という記憶と学習に関係する重要な部位の血流が減少する事が確認されています。

Costantino Iadecola博士は「実験開始から3ヶ月後にマウスは発狂しました。マウスは元来好奇心が強く、新しいものに強い関心を示すのですが、実験の進展と共にその特性を失い、目の前の普通のものすら認識できなくなりました」と述べています。これは過度の低血圧が引き起こす症状にも類似しています。

また、さらなる調査によってマウスの小腸が塩分過多に対して免疫反応を起こし、炎症性のインターロイキン17の循環を増加させ、脳の血管にも影響を与えていたことが分かっています。

現時点でこれらの実験はマウスに対してのみ行われていますが、研究チームは人間にも同様の結果が起こる可能性が強いと考えています。もちろん1日の摂取限度の8倍の塩分を取り続ける人はそう多くないと思われますが、しょっぱい食べ物を食べ過ぎた先に脳にどんな影響が起こりうるのか、心に止めておいても損はないはずです。

A Salt-Rich Diet Has An Unusual Effect On Your Brain _ IFLScience

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