「青森がイエスならこっちはモーゼだ」石川県の果て感あふれる「モーゼの墓」を訪ねてみました



信じようと、信じまいと。詳細は以下から。

オカルトに少しでも興味のある方なら一度は青森県にイエス・キリストの墓があるという話を聞いたことがあるのではないでしょうか?実際に青森県の戸来(へらい)村(編集部注:1955年に合併して現在は三戸郡新郷村大字戸来に。ヘブライが訛ったのだとされる)にはキリストの墓なるものが存在しており、珍スポット愛好家やスピリチュアルシーカーらが訪れるある種の観光地となっています。

2000年も前にエルサレムからユーラシア大陸を渡ってはるばる極東の島国までようおこしやすという気にもなりますが、なんとイエスより1300年以上前に活躍したモーゼも日本を訪れ、その人生をこの島で閉じたというのです。

そしてそのモーゼの墓があるのが石川県羽咋郡宝達志水町。町の公式HPにはこのモーゼ伝説について以下のように記載されています。

神より十戒を授かったモーゼが、宝達山の山麓、三ツ子塚古墳群の中に葬られているという奇想天外なミステリー。
 
モーゼは40年の歳月をかけ、ユダヤの民衆をイスラエルの地へ導いた後、シナイ山に登った。そこからモーゼは天浮船に乗り、能登宝達山に辿り着いたという。その後、583歳までの超人的な余生を宝達山で過ごし、三ッ子塚に埋葬された。

モーゼパークは、そんな聖者モーゼが眠る伝説の森。ロマンの小路をぬけ、モーゼの墓を見渡すミステリーヤードにたたずめば、幾千年からの時空を超えた世界が見えてくるかもしれない。

伝説の森公園(モーゼパーク)|各課・施設情報|宝達志水町


宝達志水町公式、なかなかの本気度です。3300年ほど昔にモーゼが天浮船に乗って日本にたどり着き、しかも583歳まで生きたと明言してしまっているのです。まあ日本では3本足のカラスに導かれた初代天皇が127歳まで生きた(古事記では137歳)とされていますので、そこまで無理な話ではないのかもしれません。

であればBUZZAP!取材班としてはぜひとも現場を訪れてみたいところ。さっそく北陸へと向かいました。

モーゼパーク最寄りのJR宝達駅までは石川県の県庁所在地、金沢市からIRいしかわ鉄道経由で約40分です。2両編成のローカル感溢れる車両に揺られてたどり着いたのは果て感溢れるこの上なく静かな駅でした。



東口から出てモーゼパークに向かうのですが、もちろん何もありません。「田舎とはいえ駅前なんだからコンビニくらいあるだろう」などという甘い見通しが通じるわけはありません。



自販機はあるので飲み物は手に入りますが、食べ物やスナック類などは準備していきましょう。探せば徒歩圏内に飲食店や菓子店などはあるのですが、電車で行く場合は少ない本数の帰り便を計算しながらの動きになるので要注意です。

駅前を東に進み、県道229号線に出たらさらに東へ。国道159号線(押水バイパス)の下を潜り、さらに東です。




宝達山の表示が見えてきました。モーゼが辿り着いた山とされ、頂上まで車で上れて景色が良いことから現在も多くの人が訪れる観光スポットでもあります。今回目指すモーゼパークは宝達山よりはだいぶ手前で、この「河原」交差点からは5分ほどです。



モーゼパークは県道から左手側の細い道に逸れたところ。



柱の家具店の電話番号が3桁であるところにぐっときます。携帯世代には何のことかわからないかもしれませんが…。


公衆トイレと駐車場です。ここでしょうか?


どうやら正解のようです。駅からここまで徒歩で25分弱といったところでしょうか。奥に進んでみましょう。


ありました。「古へのロマンとモーゼ伝説が眠る……伝説のモーゼパーク」です。下に小さく「Since 1993.10」の文字が。つまり今年は記念すべきモーゼパーク25周年に当たるのです。喉の奥に小骨のような違和感が突き刺さっている気がしないでもありませんがスルーしましょう。


すぐ近くに地図がありましたが、非常に紛らわしいので注意。今いる入口はモーゼパーク全体図の真下に当たります。熊の出没にも十分注意しましょう。



入口になぞの階段があったので登ってみます。古代ギリシャ建築をふと思わせるような柱が3本建っているのが見えます。


もちろんここはモーゼの墓ではありません。休憩所にも見えますが、いつか今の文明が滅んだ後にこの地が発見されたとして、その未来人たちは何を思うのでしょうか?


さて、モーゼパークの奥に向かいます。突然うっそうとした山道になります。


「山二入ルナ」の看板。歓迎されているのか拒絶されているのか迷うところです。


「モーゼの墓記帳所」がありました。なんであるんだ?設置したのは「モーゼクラブ」という集団。「山の老人」や「薔薇十字団」を思わせるミステリアスな響きです。


記帳所の看板には「大賢人モーゼは当地で十戒を授かりました」と書かれています。な、なんだってーーーーー!!!!!あまりにも衝撃的な事実に取材班騒然です。


その上の看板にはモーゼが十戒石を持って日本を訪れ天皇に献上したと書かれています。な、なんだってーーーーー!!!!!あまりにも衝撃的な事実な上に、さらりともう1枚の看板と内容が変わっています。ここで授かったんじゃなかったのか!?


さらに日本の初代天皇の即位は紀元前660年とされており、モーゼが活躍したのは紀元前13世紀(紀元前16世紀の説もあり)のこと。なあ、それじゃあいったいモーゼが十戒石を献上した「天皇」とはいったい何者なんだ…?「ミステリ」の意味が違ってきました。新本格ミステリの匂いがしてきます。

ここで考え込んでも答えは出ません。モーゼの墓に辿り着けばすべての疑問は氷解するのではないか。そんな思いを胸に取材班はふれあいの小路を奥へと進みます。


階段を登っていると分かれ道が。三ツ子塚古墳とミステリーヤードとあるので間違いなくこっちでしょう。


反対の道には拒絶するかのような倒木が放置されており、確信を強めます。


とはいえ、選んだ道を歩き始めたらこちらも倒木だらけ。普通に整備が追い付いていないということでしょうか。



道はいつの間にかロマンの小路に変わっていました。きっと目的地が近いはず。


すると突然目の前が開け、広場が現れました。石板があります。



読んでみるとこの地のモーゼ伝説の出所が竹内文書山根きくであることが明記されています。これをもって「謎は全て解けた」と言ってしまってもよいのですが、せっかくなので「モーゼの墓」を目撃しに行くことにしましょう。すべてに決着をつけるために。


ですがモーゼの墓への案内板などは存在していません。辺りを調べていると石板の左手奥に登り口のようなものが。


涸れ沢か獣道のようにも見えますが、登ってみることにします。すると山頂に…。



ありました…しかし雨風のせいか墓碑や供え物が散乱しています。これでよかったのか?これが本当にお前たちの望んだことだったのか?いくつもの思いが走馬灯のように去来します。でも、さすがにこのままにはしておけない。


取材班は幾星霜ここに眠るモーゼかモーゼではない誰かのことを思いながら墓碑を直し、供え物を整え、冥福を祈ってこの場を後にしました。



時を超え、いくつもの思惑が絡み合う中でこの地に忽然と現れたモーゼの墓。それはまさに現代日本の縮図とも、象徴とも呼べる存在なのかもしれません。

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