【中編】人の暮らす日本唯一の湖中島、琵琶湖の「沖島」の別の時間が流れる街と桜並木



琵琶湖には日本でただひとつの「人の暮らす湖上の離島」の街並みはどこか時間が止まったような、見たことのない風景でした。

前編では沖島へのアクセスと導入のみになってしまいましたので、中編ではその街並みをそぞろ歩き、名物の桜並木を訪れてみます。

まずは712年に藤原不比等が建立したとされる奥津島神社から街に下り、その風景の中を歩いてみようと思います。

はじめにこの島では、少なくとも空間の使い方としてはパブリックとプライベートの境目が非常に曖昧な場所があちこちに存在します。街並みの写真を撮っていたはずが、気がついたらそこが誰かの生活空間ど真ん中だったということもありますので(実際それで没にした写真がいくつかあります)注意しましょう。

神社から降りた両側の道がこんな感じです。なんとなくイメージできるでしょうか。



島の道路の多くはこのような道幅の道路です。


手押し車がちょこんと置かれています。


「日本でただ1つ湖に人が暮らす島」の幟。


街の真ん中にあるのは公園。ここの桜は美しく咲き誇っていました。



そして島中で目にするのがこの三輪自転車です。この島には自動車が走っていないため、三輪自転車がメインの陸上交通手段となっているのです。自転車としての機動力と前後に籠がある事での大きな輸送能力、高齢者でも転ぶことのない安定性など、考えてみればこの上ない利点だらけです。


港にある沖島コミュニティ消防センターと警察官立寄所。車はないけど飛び出し坊やがいました。


島の街並みの地図です。まずは南側を回ってみましょう。


湖沿いの気持ちのよい道です。三輪自転車のサドルには鍋や缶が被せてあるのですが、雨や日光でサドルが劣化するのを防ぐための生活の知恵ですが、本土では見ないこのようなちょっとした文化の違いにハッとさせられます。


海沿いのようですが、あくまで琵琶湖のため潮の香りがしないのが不思議な感じですね。


ちょっと季節外れですが紅梅でしょうか?



おっと…満開の桜が見えてきました。


見事な咲きっぷりです。



こうした実用的な設備がのどかな風景の中にぽんと現れるのもこの島の生活そのものなのでしょう。


先っぽまで来てみました。釣り人がいますね。


どんつきにあるのが民宿「湖上荘」です。ふらりと泊まりたいと思う人もいそうですが、宿泊には事前予約が必要ですので注意。


ここからは琵琶湖の南方が一望できます。動力船の存在しなかった時代の人からしたらまさしく海だったのだと感じさせるスケール感です。


街に戻り、「おきしま資料館」の脇の道を通って西側に向かいます。ええ、これはれっきとした道なのです。


この道の途中に保元・平治の乱の際に沖島に渡った源氏の落武者7人のひとり、茶谷重右衛門の末裔が蓮如上人に帰依して庵を建てたことに始まる「西福寺」があります。



境内には蓮如上人之像も。


西福寺を過ぎて少し行くと突然眺望が開けます。



雲に隠れていますが、琵琶湖の西に聳えるのは比良山系です。


ここにも美しい桜が。



そしてドキッとするような看板も。琵琶湖は突然深くなっている場所も多く、夏には時折遊泳時の死亡事故のニュースも報じられます。夏に訪れて暑いからといって勝手に泳いだりしないように注意しましょう。


道沿いに北に向かってみます。パブリックとプライベートの曖昧な境目のイメージがお分かりいただけますでしょうか。記事に掲載できるギリギリです。


この島に来て初めての猫を発見。どこにいるか分かるかな?


隠れてしまいました。恥ずかしがり屋の黒猫でした。


歩いていると三輪自転車に乗ったおばあさんがゆっくり追い越していきました。


そして湖沿いの息を呑むような桜並木。咲き乱れる桜の下を三輪自転車のおばあさんを追いかける。ルイス・キャロルの世界なのか、はたまた坂口安吾なのか。このまま異世界に迷い込みそうです。



薄日が差してきてさらに桃源郷感がマシマシです。なんだこれ。


桜散る小さな畑で先ほどのおばあさんが野良仕事をされていました。黒澤明の「夢」にこんな場面があったような…。白状しますがこの辺りで筆者は沖島にがっちりロックされました。



右に畑、左に琵琶湖を見ながら桜並木を延々と潜ってゆきます。


沖島浄化センターというディストピア感とサンバーパンク感の間に揺蕩うようなネーミングの施設ですが安心してください。下水処理関連施設です。


あまり使われていないであろう船着場のデッキがありました。


振り返って桜並木を眺めてみました。美しいですね。本土の桜が散り終わる頃に満開だったので、この辺りは若干遅咲きと思われます。桜の時期を狙って行かれる場合は参考にしてみてください。


取材班は再び街に戻り、帰りの船の時間を気にしつつも「厳島神社」の弁財天をお参りに行くことにしました。

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