時にあるおとぎ話が誰かの現実であるように、ある現実は誰かのおとぎ話たり得るのでした。
中編で見事な桜並木に息を呑んだBUZZAP!取材班は、沖島の東側に向かうべく再び中心部である港まで戻ってきました。
湖沿いの道を東に向かいます。少し開けていますが基本的にはゆったりとした家々が連なり、自転車や三輪自転車が停まっています。
右手には港が続きます。船はひと世帯に1隻以上所有しているケースもあるとのこと。
港を過ぎるとさらにのんびりした雰囲気に。自動車の音がしないだけで耳に聞える景色が全然違いますね。
グラウンドまで辿り着きました。ここは栗谷港という別の港になっていて、奥には私立沖島小学校があります。
想像以上にしっかりとした小学校でした。訪れた日は週末だったので児童の姿はもちろんありません。
小学校のトイレは誰でも使用可能。ですが、いい歳をしてトイレの躾もできていない来島者が少なくないようで、非常に恥ずかしい張り紙をされてしまっています。自分のお下の世話を見知らぬ小学生に押しつけないように!
グラウンドを歩いてさらに東に向かいます。
桜に囲まれたぐっとくる小道になっています。
三輪自転車ギリギリ1台分の道幅でしょうか。
何かを養殖しているような木組みを発見。
木の橋になりました。
桜と菜の花が咲いています。天国的な、実に天国的な。
「からたち野道」と「少年時代」がいっぺんに流れてくるような、こんな場所は見たこともないはずなのに不思議な懐かしさが込み上げてきます。
これが…原風景というものなのでしょうか。故郷の街並みにも感じないような感情がなぜか溢れてくるのを感じます。
おや、鳥居が見えてきました。行ってみましょう。
さすが「厳島神社」。やはり一の鳥居は水中にありました。
奥にある桟橋から撮ってみました。桜と鳥居が青空に映えます。
参拝してみましょう。
こちらは由緒を記した石版。
急な階段を上ります。
境内はこの上なくシンプル。訪れる人も少ないのでしょうか。
社殿は固く閉ざされていました。
こちらの写真の弁財天が中に鎮座しているのでしょうか。観光用の神社ではなく、古くからの信仰の対象である事を感じさせます。
境内からの眺望です。
帰りがけにさっきのグラウンドでようやく3匹の猫(朝礼台に2匹)を発見しました。やはり猫島と呼ぶにはちょっと猫が少ない気がします。
1匹が躊躇なく近寄ってきます。
撫でろということでした。仰せのままに。それにしてもよく人に慣れていますね。
もう1匹もふらふらと寄ってきます。もしかしたら餌を期待したのかもしれませんが、船の注意書きにあったようにあげません。
あくまでマイペース。こうでなくては。
孤高の1匹。お年寄りっぽいですね。
グラウンドから内陸側の道を通って街まで帰ってみることにしました。
畑と三輪自転車。
細い道はしんと静まりかえっています。
小さな祠。
畑と家が入り交じります。
古いランプが吊されていました。現役なのでしょうか。
徐々に街の中に入っていきます。
港に戻ってきました。帰りの沖島通船の出発まであと少し。再びここを訪れられるように願いを込めて桟橋の「願い鐘」を衝いてみました。
さあ、出港です。いい時期に民宿を予約して、帰りの船の時間を気にせずに過ごしてみたい島でした。観光地でないからこそのゆったりとした時間の流れ、本土とは違う生活様式や時間の止まったような懐かしい風景は、訪れる人の持つ「日常」の感覚に優しく一石を投じてくれるように感じます。
なお、沖島では3月末から4月上旬にかけて沖島漁協婦人部「湖島婦貴の会」によって「沖島桜まつり」が開催されています。特産品の出店やマルシェなども開かれ、お弁当なども販売されるので、お花見と合わせてタイミングを合わせてみてもよさそうです。
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