日本人が海外に出稼ぎに行く時代が始まったのかも知れません。詳細は以下から。
◆「出稼ぎ日本人労働者が不法就労」という衝撃
民泊仲介サイト世界最大手・米Airbnbの韓国のコールセンターで、約20人の日本人スタッフが就労ビザなしで不法就労していたことが判明しました。
韓国の警察当局は当該スタッフら約20人と採用に関わった韓国の代行会社の社員数人を出入国管理法違反などの容疑で書類送検する方針とのこと。
日本人スタッフらは2017年4月頃、ソウル近郊にあるAirbnbの日本人観光客向けコールセンターで、就労ビザを持たずに働いたとされています。業務はソウルの代行会社がAirbnbから委託を受け、インターネットの求職サイトで日本人スタッフを募集していました。
この時点で「日本人が韓国に出稼ぎに行く時代になったのか」との感想も出ていましたが、さらに話題になったのはその賃金と待遇です。
◆うわっ…日本の月収、低すぎ…?
募集では「1年を見越した長期勤務が可能な方」を対象とし、待遇は週5日勤務の1日8時間労働で、月給最低200万ウォン(約20万円)。さらに退職金やボーナス、社員寮があるとされていました。
これには「国内より高い」「自分より高待遇」といった指摘も飛び出しています。実際に「2017年 コールセンター求人の平均時給【働く人の生の声】_コールセンターに関する役立つネタをお届け!CCプラス」によると、日本の2017年のコールセンター求人の全国平均時給はアルバイトで990円~1100円、派遣社員だと1200円~1340円となっています。
この中から、派遣社員の平均値の最大値である1340円で1日8時間週5日を4週間働いたと考えると21万4400円となります。
同じ条件で月給が「最低」200万ウォン(約20万円)な上、日本の多くの派遣社員には高嶺の花である退職金、ボーナス、社員寮が付いてくることを考えると(もちろん提示内容に嘘がなければですが)、海外出稼ぎは決して非現実的な選択肢とは言えません。
2017年に中国のHuaweiが日本での新卒採用初任給に40万円を提示したことが大きな話題となりましたが、働く国が変わっても同様の逆転現象が起き始めているとも言えそうです。
今回は代行会社が就労ビザに関して出稼ぎ日本人労働者らを騙していたことになりますが、今後違法性がなく同様の条件での日本人への求人が行われるようになると、既に人手不足の深刻な日本人労働者が海外に流出していく可能性も十分にあります。
現在盛んに行われている「外国人労働者を増やすかどうか」という議論も、文字通りの「取らぬ狸の皮算用」になってしまうのかもしれません。
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