むしろ森林を破壊しているイメージを持たれていそうな2つの超大国が、実は地球の緑を増やしているという報告です。詳細は以下から。
13億人の人口を誇る中国と、それに迫るインド。21世紀を担う2つの超大国と呼ばれており、どちらも発展の速度とバイタリティは目を見張るほどです。
両国共に大気汚染や水質汚染などの深刻な環境問題を抱えていることは改めて指摘するまでもありませんが、なんとNASAによるとこの2国が地球の緑化に大きく貢献しているとのこと。いったいどういう事なのでしょうか?
BBCが報じたところによると、現在の地球上の葉面積は2000年代初期に比べて518万平方km程度増加していました。これは地球全体で見ると5%の増加に当たります。
NASAの衛星からのデータによると、この20年間で増えた草木の葉の占める葉面積はアマゾン熱帯雨林にも匹敵しています。科学者らは最初、こうした緑化は二酸化炭素の増加とより暖かく湿潤になった気候の影響で植物の生育が促されたためと考えていました。
ですが、NASAの地球観測システムのためのModisと呼ばれる人工衛星に積まれた装置により、実際には農業と造林がこうした変化に大きな影響を与えていたことが分かったのです。
その中でも中国は独自の森林保護と拡大のプログラムにより、緑化の42%を担っていたことが分かりました。この政策は土壌浸食、大気汚染、気候変動の効果を減少させるために行われています。
緑化の別の32%、特にインドの行った緑化の82%は、進化する肥料や灌漑のおかげで拡大した食料の集約栽培によるもの。2000年から見ると両国の穀物、野菜、果物を筆頭とした食物生産は35~40%増加しています。
ではこうした緑化は現在地球を襲っている気候変動を食い止めることができるのでしょうか?現時点では非常に多くの要素によって発生している気候変動を、この緑化だけでどうにかできると判断することはできません。
ですがこの研究の共著者であるNASAのエイムズ研究センターのRama Nemani博士によると
人間の影響が地球緑化の鍵になることを私たちは知っている。このファクターを私たちの気候モデルに組み込む必要がある。これによって科学者らは互いに異なる地球のシステムの振る舞いをより良く予想できるようになり、各国にどのような決断をし、いつ行動すべきかを知らせられるようになる。
としています。例え両国の緑化が気候変動を直接解決はしなかったとしても、そのためのデータを蓄積するためには大きなプラスとなりそうです。
日経ナショナルジオグラフィック社 (2017-11-06)
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