避けようがないため、タバコよりも問題は深刻です。詳細は以下から。
タバコは喫煙者だけでなく、周囲の家族らにも副流煙による害を与えます。ですが、大気汚染は住んでいる場所によっては避けようのない公害です。その大気汚染に起因する死者がタバコによる死者よりも多いという研究結果が公表されました。
マックス・プランク研究所が主導した研究によると、大気汚染に起因して寿命に至らず早期死亡する人が世界で年間880万人に上ると発表しました。過去の研究では世界で年間約450万人と考えられていましたが、およそ2倍にまで膨れあがったことになります。
WHOは2015年のタバコに起因する死者数を世界で年間720万人と見積もっており、大気汚染による死者数はこれを160万人上回っていることになります。
なぜここまで死者数が膨れあがったかというと、それぞれの国の大気汚染のレベルのデータ、大気汚染への健康への影響、さらには研究対象となった国の人口密度や年齢分布、公衆衛生のレベルなどの極めて多種多様な要素を多面的に結びつける新しい手法を用いたため。
研究では日本でも知られるPM2.5の及ぼす効果に焦点が当てられています。PM2.5は大きさが2.5マイクロメートル(0.0025mm)の多種多様な微粒子群で、主に自動車や工場の排気ガス、焼き畑や森林伐採に伴う煤煙といった燃料の燃焼によって生じます。
これらの粒子は呼吸によって肺から血管に侵入して循環器系を巡って血管や心臓などにダメージを与えます。実際にこの研究では、ヨーロッパでの大気汚染関連死の4割から8割は心筋梗塞や脳卒中といった循環器疾患とされています。
研究を主導したマックス・プランク研究所のJos Lelieveld教授は「ヨーロッパのPM2.5をはじめとする大気汚染物質の大半は化石燃料の燃焼によって生じている。エネルギー源の転換が急務だ」と述べています。
そして重要なのは、Lelieveld教授の「クリーンな再生可能エネルギーへの転換は単に気候変動を抑制するためのパリ条約の要求を満たすに留まらず、大気汚染関連死をヨーロッパで最大55%抑制することになる」という指摘です。
つまり、化石燃料の比率を減らして再生可能エネルギーにシフトすることは、単に気候変動を抑制するのみならず、大気汚染による健康被害を軽減させるということにも繋がります。
タバコの煙と違って止めることもできず、生きている以上吸わないわけにはいかないのが空気です。私たちはその未来に対し、どのような選択をすべきなのでしょうか?
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