過去2000年で初となる「全地球規模の温暖化」が現在進行中と判明


過去の温暖期や小氷期と現在の気候変動はまったく様子が異なることが明らかにされました。詳細は以下から。

現在世界中で大きな問題となっている気候変動。ですがトランプ政権を筆頭に、この気候変動への懐疑を示す人も少なからず存在しています。

そうした人々の多くが論拠とするのが、地球の気候は氷河期をはじめ、過去にも人類に起因しない変動に見舞われてきているという事実で、今回もその一環に過ぎないとするものです。

実際に15世紀頃から19世紀末に小氷期が訪れており、最も寒かった1645年から1715年の「マウンダー極小期」や18世紀末から19世紀初期の「ダルトン極小期」にはヨーロッパでテムズ川やオランダの運河が凍りついた事が記録されています。

一方で10世紀から14世紀にかけては中世の温暖期と呼ばれる温暖な時期が続き、ヴァイキングがグリーンランドに進出するきっかけのひとつともなりました。

ですが、ベルン大学エシュガー気候変動研究センターのRaphael Neukom博士らの国際研究チームがジャーナル「Nature」で公表した研究によると、現在起こっている温暖化は過去2000年に人類が経験してきた気候変動とは異なる、全地球規模の現象です。

Raphael Neukom博士は「小氷期の期間中に世界的に気温が下がることは事実ですが、同時かつ全世界的な現象ではありませんでした。産業革命以前の温暖期や小氷期の寒暖のピークはエリアによって時期が違うのです」と指摘。

これまではヨーロッパや北米の気候の歴史のデータを主に用いていたため、こうした小氷期や温暖期が全地球規模のものであると考えられてきましたが、別のエリアのデータを踏まえるとこの認識は誤っていたとのこと。

研究者らは気候に関する国際研究協会PAGESの産業革命以前の全世界のデータを検証。木の年輪に加えてアイスコアや湖沼堆積物、珊瑚などについても分析を行ったところ、全地球規模の気候変動は発生していなかったと結論づけました。

これらの気候変動は局地的で、火山噴火や太陽の活動周期などのランダムな現象の影響の範囲内で説明がつくものの、現在の温暖化は南極西部を除く地球の98%で気温上昇が観測されているとのこと。

また、この2000年のうちで最も暑い時期の多くは20世紀に固まっている上に温暖化のスピードも速く、二酸化炭素を筆頭とする温暖化ガスの影響を考えずには説明が付かないとしています。

「1万年前までは氷河期があったし、2000年という短いスパンで見ても意味がないのでは?」という疑問も湧いてきそうですが、氷河期の終わった1万年前の世界人口は400万人から多くとも1000万人程度と考えられています。

その後農業革命が起こって人口が爆発的に増えていくことになりますが、紀元元年頃に2~3億人程度だった人口は現在77億人にまで爆増しています。

人口が少なく農業を主な生活手段としていなかった時代と、77億人を農業によって賄わなければならない時代では気候変動のもたらす影響は全く違ったものになります。

全地球規模での温暖化が発生しているということは、同時に世界中の農業に影響が及び、同時に数十億人が飢饉に見舞われる危険性があるということで、以前BUZZAP!で報じたように「人類の文明の滅亡」すら招きかねません。

逃げ場がない以上、全人類がこの問題に真摯に取り組む必要がありそうです。

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