2019年10月にサービスを開始するはずが基地局整備の遅れで三度の行政指導を食らい、東名阪で5000人限定の試験サービスとしてスタートした楽天のキャリア事業。
蓋を開けてみるとその試験サービスですら通信障害が相次いでいることが明らかになりました。詳細は以下から。
読売新聞社の報道によると、楽天のキャリア事業で通信障害が先週末から今週にかけて相次いでおり、事態を重く見た総務省が楽天側から事情を聞く方針を固めたそうです。
関係者によると5000人限定で開始した試験サービスについても、通信回線がつながった契約者は1000人に満たないとのこと。つまりたった1000人すら満足につながらない状況です。
また、日本経済新聞社の報道では総務省電気通信事業部長自らが「ローミング先のKDDIではつながり、楽天のエリアになると都心であってもネットワークが不安定になる」と身をもって体験中。
楽天が基地局整備に苦労する様を、通信行政の長である総務省総合通信基盤局長の谷脇康彦氏の視点からまとめてあります。
谷脇の懸念は現実となった。基地局の場所の確保すらままならない。総務省は3月、整備計画を具体化するよう最初の行政指導をした。楽天は工事の作業員をかき集めて急いだが、それでも挽回できない。楽天から総務省に報告される基地局数も大きくは伸びていかなかった。
6月には楽天側から10月1日に本格参入できない可能性を示唆された。6月末の基地局数は想定をはるかに下回り、7月には迅速な整備を求める2度目の行政指導をした。8月下旬、事業開始前としては異例の3度目の指導を行った。谷脇は楽天モバイル社長の山田善久(55)を呼んで告げた。「ちゃんと社会的責任を果たしてください」
ドコモの設備投資1年分となるわずか6000億円で日本全国にネットワークを整備できると息巻き、度重なる行政指導の中、通信障害を起こしながら基地局の敷設を進める楽天。
しかし今は大手3社が2019年春のサービス開始に向け、大金を投じて5Gネットワークを整備している真っ最中でもあります。
そのため人材などさまざまなリソースの確保に苦しむ状況であることは想像に難くなく、整備の遅れを早い段階で取り戻すのは至難の業とみられます。
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